クライアントやユーザーを「共犯化」するために、企業は深い理念と高い技術で顧客を「洗脳」する必要がある。
そのために各社は企業ミュージアムをつくる。
これは世界中の現代企業に共通する仕掛けだろう。
求められるのは「明快さ」である。
取材した3社は、提示すべき理念と技術を以下のように考えている。
①Molteni&C社(写真左) ・・・新素材によるデザイン開発への挑戦
②Riva社(写真中) ・・・手仕事による伝統技術のモダナイズ
③PAOLA LENTI(写真右)・・・技術、ポップさ、生活感の融合
各社はミュージアムに「明快さ」を与えた。
①AVツールを利用した現代的な空間。
②伝統工具の膨大なコレクションを見せる簡素な倉庫空間。
③遊び心のあるアイテムを展示する修道院の中庭や礼拝堂。
ザックリすぎる表現で整理すると、各社に共通するのは、顧客を洗脳するために
二つのことに骨身を削っているという事実である。
まず 「どうつくるか」
つぎに 「どう見せるか」
今回の3社は全くスタンスの異なる理念をもっているので、序列化はできないが
「どうつくるか」と同じくらいに「どう見せるか」にアイデアとお金を投入していることは事実だ。
ミュージアムを出た時、濃密な空間演出によりつい「洗脳」されかかっていたことに気付く。
いい企業ミュージアムにはミイラ取りをミイラにしてしまう危険さがある。
敵を取材に行っているのに「好き」になってどうすんねん。
N.F