空気だろうが、霧だろうが、それがカタチを有するならば、
絶対逃れようのないもの、それがG(重力)の支配。
我々の仕事もGとの闘いが大前提となる。
建築でもプロダクトでもデザインとして軽やかに見せかけることは出来るが、
そうすること自体、Gの支配を受けている証しなのである。

先日、一本のショートフィルムをみた。
そのコンセプトはシンプルかつ、目からウロコだった。
- Gの支配から解き放たれた時、人の意識や行動、モノの在り様は一変する!

ジェット機の機内でPCをたたく4人の男。

機内は無重力となり、Gから解放された男たちはノートPCを放棄し、空間を自由に動き回る。

そしてその自由な動きにより隣人や対人との関係は一変する。

サブタイトルの通りに、上下は逆転し、内外は反転し、モノは空間に散乱する。
パニックではなく、フリーダムなのだ。

3分20秒のこの短い映像は、緻密で気の遠くなるプロセスによって出来上がっている。

航空機を下降させて無重力にする方法は映画でも多用されているが、
秒単位の運航スケジュールとカット割りをこれほど細かく関係づけた例はないだろう。

映像や音にはGの支配は及ばないのだ。
シネコン向けの企画という商業的支配(これもG?)からも解放されている。
痛快な3分20秒だった。 N.F