London Zoo Penguin Beach&Pool

ペンギンビーチと書かれた素朴なゲートをくぐると、そこは楽園。

大きくは囲われているが、その中ではペンギンは自由な動きを約束されている。
擬似的な自然環境ではあるが、デザイン上のこだわりはほとんど無い。
ペンギンのリラックス感を設計したヤツはよほどのスゴ腕か、はたまたド素人か。。。

 

その答えは、100mほど離れたところにある。

ペンギンプール
「ヒューマンスケール」でデザインされたカーブする壁。
真っ白に塗られているのは氷の「メタファー」かも知れない。

カーブの背面に回り込むと観覧のための大きな窓が開いている。


壁に囲まれた200㎡に満たない空間には美しい「プロポーション」
のランプが立体交差して、ペンギンが可愛くもぎこちない動きで列をなしている。

しかしこれは数年前までの風景。今ペンギンはいない。

コンクリートで水を貯めるプールは近代五輪に起源をもつ。
競技用でも遊泳用でもプールの中では人はスピードやコースや出入りを制限される。
ペンギンプールは1934年に、人が動物を鑑賞するためだけに設計された近代的な装置なのだ。
ロシア人の建築家は「プール」という冴えたアイデアでペンギンの動きを操縦したのである。

だから、この純白の廃墟からは建設に関わった人たちの野心と達成感が今もまぶしく溢れている。


しかしペンギンはいない。
おそらく、多くのペンギンはこの出来過ぎた近代的な住まいでの生活に疲れたのだと思う。
かくしてペンギンはプールを出てビーチに向かった。
ここを愛した住人もいたのかも知れないが。。。

 

一方ここビーチでは意図的な「ヒューマンスケール」「メタファー」「プロポーション」は存在しない。
動きの制限もなく、演出を強制されることもない。

人間もかつて渚から陸にあがり、水辺に自らの環境を築き、技術的にそれを極めつつある。

正否はないが、それを買う人もいれば、渚の暮らしを愛する人もいる。

ひとり佇むペンギンにプールとビーチについての感想をぜひお伺いしたい。