マニアのスタジアム


マニアのスタジアム1.jpgロンドンから北西に
250キロ、カーディフという街がある。

その中心部にミレニアムスタジアムという7万人収容のラグビー場がある。

 

1999年にラグビーワールドカップ開催に合わせて建設された。

古風な街並みに立ち上がる鉄骨の支柱は印象的で、ビッグゲームへの期待感を煽る。

 

少し離れたところから見える開閉式屋根や多段式の観客席は「お金の掛かった」という

印象を与えるが、実際のつくりは簡素だ。

 


マニアのスタジアム2.jpg

建物や川が迫る市街地の中で、大きな屋根を合理的に支えるため、4隅に垂直に柱をたて

そこから長い骨組を吊っている。

内部空間は日本の体育館の屋根と同じく、鉄骨のトラス梁が露出している。

構造デザインとしては古典的な手法だが、そんなことはラグビーマニアにはどうでもいいことだ。

 

 

そして刺激的なのがスタンド裏の空間だ!!

 


マニアのスタジアム3.jpg
本来ならばショップなどが並ぶスタンド裏はデザイナーの腕の見せどころだろう。

しかし、、、コンクリートと蛍光灯と設備配管がむき出しで、非常に素っ気ない雰囲気だ。

男子トイレに至っては、あまりのpoorさに感動すらした。

私の好きな神宮球場や大阪球場に通じるセンスのあるpoorさ。

 

ビールと国歌とアツいゲーム、ラグビーを愛するマニアには

それ以外の演出は邪魔なのだ。

 

スタジアムは刹那の決闘のための場。美術館や劇場ではない。

文化や歴史はすべてピッチの中で体現されるのである。

観客はたった80分のゲームに熱狂することで全身で何かを感じ取るのだ。

 

邪魔な要素を一切排除したデザイナーはきっとラグビーマニアに違いない。

少なくとも建築家としての野心よりもフットボール文化への深い理解を感じた。

 

結果それは時間とお金の節減につながるのだ。

 

 

追記

私がカーディフを訪れたのは2007年秋のワールドカップ JAPAN vs WALES 戦の前夜で

大雨が降っていた。

深夜、空港からホテルに向かう途中、タクシーの運転手がスタジアムの前を通過しながら

私に言った。

 

 運転手  「今、スタジアムの屋根をわざと開けている。」

 私     「ピッチが緩くなるよ。なぜ閉めない?」

 運転手  「それが作戦なのさ。」

 私     「はあ?」

 運転手  「日本は緩いピッチが苦手だからね。」

 

開閉式屋根の使い方までマニアックすぎる

充電器



充電器.JPGしゃべらなければならないし、考えなければならないし、つくらなければならないし、

怒らなければならないし、笑わなければならないし、飲まなければならないし、、、

 

そんな騒々しい日々が続くことがある。

目の前のことだけを見つめ、これだけを達成し、そしたら次へ、

精魂はだんだん消耗していくのでございます。

 

じゃあ休暇でもとってNYにでもいくかと。

しかし、そんなことでは本当の充電は出来ないのです。

 

p.b.Vには客人を入れない隠し部屋があって、そこが私の充電器になっている。

癒し音楽を聴いたりや、アロマを吸引しているわけではない。

散らかった廊下のような空間で、ひたすら手を動かすのだ。

建築学科の学生のようにモックアップ(模型)を生産する。

頭は使わない、字も書かない、図も描かない、、、

絶対考えない。一日、籠る。

 

一見、Out-putのように見える作業は実は、手の動きを介してIn-putに転化するのである。

不思議だ。構想や戦略といった空論を忘れ、野良作業のように体を動かすだけなのに。

 

転化のメカニズムは専門家に譲るが、サーファーや登山家が天候を読んで進退を見極めるように

身をもって入力した実感は確実に次の行動へのエネルギーになるのだ。

小難しくいえば「情報の身体化」だ。

 

私の充電器はご覧の様に、何がどこにあるのか判らないくらいに雑然としているが

外部の情報からは極力遮断している。

 

一日籠ると、10%は充電できる。N.F

 

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