Maekawa曰く

1942年、昭和の大建築家、Maekawaはこう言った。
「バラックをつくる人はバラックをつくりながら、ただ誠実に全環境に目を注げ!」
そしてこう続けた。
「都合の良い部分だけ切り取るな!」
Maekawaは飽きさせない建築をつくるため、設計や施工方法のすべてをゼロベースから問い直した男前である。
そして80年の時を経た今「全環境」「都合の良い部分」はいよいよ社会に刺さり込む言葉に育ってきた。

昨年ロンドンのラグビースタジアムでビールを飲んだ時のコップである。
メッセージが印字されており、肉厚のある美しい乳白色のボディーの底には補強のリブが入っている。
ゲーム後、このコップの有料回収コーナーがあったが、私は別れ惜しくて思わず持ち帰った。
帰国後、フランスが使い捨てプラスチックの禁止を法制化したことを知った。
フランスにはプラスチックバレーと呼ばれるオヨナという街がありプラスチックの先端企業が集まっている。
このカップはそこでつくられたものだった。
フランスだけでも年間50億個ものプラスチック容器が廃棄される。リサイクル率は1%。
世界中で海洋汚染の要因になっている。

このコップは回収後、製造元の企業によりラベルが貼り直され別のイベントに提供される。
分子レベルで再生するためのつくりにはまだ至ってはいない。
しかし、少なくとも再使用に耐えるためのデザインになっているのだ。

「コップをつくる人はコップをつくりながら、全環境に目を注げ!」
「都合の良い部分だけビジネスとして切り取るな!」

コップを自分の仕事に置き換えた時、すべての職業人には3つの選択肢が与えられる。
一つ、知らないふりをする。
二つ、ゼロベースで問い直す。
三つ、住む星を変える。

前川國男 1905-1986
N.F

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