没入か、刷込みか。
2026.3.25
現物を展示できる絵や彫刻に対し、実物が展示できないのが建築展の難しさであり面白さだ。
興味深い二つの建築展を体験した。
一つは、ハイスペックなもの。
もう一つは、質素すぎるもの。
軍配はどちらに。。。
まずはハイスペックから。

1,000㎡は超える大きなフロアに、プロジェクションマッピングや3Dプリンターを駆使して
昨今流行りの「没入感」を演出している。
没入先は没後100年を迎えた天才の頭の中である。

こうなると、もはや何の展示かよくわからないが、みなさん会場のあちこちで「没入」状態である。
また、この天才の武器は複雑な曲面であるため、3Dプリンターによるモデルとの相性が良い。

お金と技術を投入した分だけ入館料もかなりお高い。
次は質素系。
ポルトガル大使館のエントランスホールの一角を利用した、こじんまりとした建築展。
展示面積はわずか50㎡ほどである。
中央のテーブルと奥の壁にスケッチがならんでいる。


そしてこのスケッチを横から見ると、、、

すべてが一冊のスケッチブックの中の、あるページの見開きが展示されていることがわかる。
また会場の両サイドにはモニターがあり、
片方では主役のインタヴュー画像が、
もう片方では数年前にポルトガルで開催された展覧会のインタラクティブ動画が、
それぞれ映っている。


たったこれだけである。質素すぎるが、なぜかインパクトがある。
前者は、一つのハイスペックな展示により、一つのイメージに体験者を没入させる。【1→1】
後者は、3つの展示方法が連携してながら、複数のイメージを体験者に刷込りこむ。【多→多】
高額入館料による大規模圧倒的な没入感か、入場無料の小規模複合型の刷込みか。
私の個人的な趣向から言わせて頂ければ、後者に技あり一票。
没入先から戻れば脳内はリセットされるが、刷込まれたイメージは脳に留まるから。