我々が関わったのは直近の1年半。
記憶に残せない、いや残したくないくらいの嵐のような意見交換は単純すぎるカタチを生んだ。
コストと面積と施工法のせめぎ合い、それに農業者直伝の環境克服技術がトッピングされ
シンプルかつコクのある仕上がりとなった。
前面の大きな庇の下は、特大のビニルカーテンで守られるようになっており、
イベントに来たお客さんや、開店待ちのコアファンを風雨から守る仕組みになっている。
このカーテンは牛舎用のもので、50mほどの長さのものでもハンドルで軽々操作できる。
足場用の鉄パイプは強風時のあおり止めである。
この土地は非常に風が強いので、さらに板を横に渡して防御を固めている。
そしてその板には出資した農業者の名前が守護神の様にペイントされている。
守護神というより、「来たお客さんは逃がしませぬ -_- 」的な意思表示というべきか。
内部は棚の面積とレジ動線に腐心した以外、何にも意図されたものはない。
簡素さや建築的な仕掛けの無さは、もちろん新鮮野菜が容赦なく隠滅してくれる。
店内の一角に小さな家の様なテナントがある。
出資者である町村農場とクレープメーカーとのコラボによるパイの新ブランドである。
農業倉庫としてなじみ深いギャンブレル屋根を アイコンにしている。
広大な原野には開拓時代からアイコンの存在が重要だった。
位置的な目印として、技術的進歩の指標として、がんばっている証しとして。。。
国道を挟んだ反対側は河畔林となっている。
木立越しに望むと、合体に要した10年の歳月が新しいアイコンを産み出しつつあることを実感する。