内部から支えている木の骨組みだけ残して、沈下している部分の軟石をはずした。
中に入ると、、、
建設以来、ずっと暗かった石蔵に光が射しこんだ。
そして再び外側から壁を貼る。
とにかく軽量な壁。
サランラップで包みたいくらいだが、、、
軽量×耐水×耐風圧×安価=ポリカーボネート中空板22mm+カラマツ板材12mm
となった。
ポリカは国内メーカーから調達すると250万円。
生産地イタリアから台湾経由で輸入すると70万円。
なぜそうなるかはさておき、こんな感じになる。
七転八倒、艱難辛苦、呉越同舟、孟母三遷、蒙古襲来、、、
とにかく苦しんだ末に完成した5分の映像。
3000カット余りのスチールと十数時間に及ぶビデオ。
無限の展開が可能なはずの情報量のうち99.9%を断捨離し完成した。
写真家、音楽家、映像作家の協力を経て
映像の世界の深さ、難しさ、楽しさを十二分に満喫した6か月間だった。
映像の大半は半島の自然や暮らしを紹介するものだが、途中に建築の変身をテーマにした
十数秒が挟まれる。
スチールとグラフィックと音楽とテロップを合成してつくったものだ。
木造の鰊加工工場、コンクリートブロックのサイロ、鉄骨の牛舎。
近代産業の遺物が変身するくだりである。
数コマの連写で、瞬時にそして少し乱暴に建築のロケーション・サイズ・素材感・アクティビティを伝えるためには有効なプレゼン方法だと思った。
しかし、3Dだろうが4DだろうがVRだろうが、最終的には2Dのスクリーンに投影される
映像の世界はつねに可能性と限界が隣り合っている。
閃きや感性がなければ創れない、厳しい世界だ。
この魅力的で危険すぎるヌカルミを卒業し、建築の世界にもどる時間が来た。