原因はすぐよこに流れる生活用水路の沈下である。
どんどん亀裂は大きくなり、赤線の幅は大きい所で3~4センチにもなる。
小さな石蔵でも、沈下を抑制するような補強をマジメに考えると、
コンクリートと鉄の
ぎこちないギブスで全体を覆うことになる。
ギブスを避けるためには、沈下部分を壊して建物全体を小さくするしかない。
沈下も抑えたい。。。
でも補強を最小にしたい。。。
でもでも規模を小さくするのもいやだし。。。
どんどん開いていく亀裂を眺めながら逡巡すること1年半。
ついに補強でも縮小でもない第三のアイデアが生まれた。
「減量」である。
沈下エリアの石を丁寧にはずし体重を軽くする。
中の木の骨組みを露出させ、
透明の超軽量中空ポリカで覆う。
内部に控えめなギブスをつけた。
沈下は微量ながら進行しても、木の骨組みが変形に追従する。
約90年間、暗くてヒンヤリした石蔵の内部はこんな風だった。しかし、、、
「減量」により解放された壁面から大量の光が差し込み、明と闇が衝突し融合する空間になる。