マガジンWALL  /札幌中央図書館 (Library renovation / Sapporo / 2014)

DSCF5242.JPGエントランスホールの傍らに、この様な一角があった。

児童図書の研究のためのスペースだが、利用度が低く

新たな空間利用のテーマと方法を検討した。

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この様になった。

壁はマガジンで覆い尽くされ、照明も新設された。

しかし、我々は既存の床・壁・天井には全く触れてはいない。


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「壁」のような家具をつくって、部屋の両サイドに設置しただけだ。

1ユニットには36の本が背表紙を見せて並ぶので、

36 × 6 = 216 種類のマガジンが一望できるスペースになった。

バックナンバーは足元に収納している。

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マニアにも、暇をつぶす方にも、十分耐えうる空間となった。

森の中  /自由の森(Nursery school/ kita-hiroshima / 2015)

森の中.jpg住宅地に隣接した深い森。入っていくと体感気温が下がる。

沢があり原生林が密生するこの難所に20年かけて築かれた幼稚園。

園舎を中心に隠れ家や遊び場が点在している。

 

こども園として拡張するに当たり、保育部門を増築することになった。

20,000㎡の広い森であっても、環境ダメージを最少にする増築敷地を発見することは困難だ。

カメラと巻尺を手に森をさ迷う日が続く。

 

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木や敷地の傾斜をニラんでいると細長いスペースが見えてきた。

何とかそこに入るように手を変え品を変え、何度も試行錯誤。

木をかわし、斜面に吸い付き、既存園舎に食い込んでいく様な

コンパクトな輪郭が姿を現した。

 

しかし喜びもつかの間、運営条件や構造上の接続条件など、山積課題の入口に

立てたというだけのことだった。

 

 

 

 

ヴォーリズへの旅/神戸女学院デザインプロモート (blanding/ Kobe / 2011~)

配置図.jpg2011年11月7日、縁あって神戸女学院のキャンパスを見せて頂いた。

1934年に巨匠ヴォーリズが丘陵地に設計した学校だ。

 

ヴォーリズは建築家としてはかなり規格外の男で、

独学の建築家で、事業家で、社会活動家で、宗教家で、、、

守備範囲が広すぎて、学術的な位置づけはかえって難しい。

しかし、逸脱を尊び、脱線癖のある私はその守備範囲の広さにこそ共感してきた。

 

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校門をくぐって木立に囲まれた丘をあがると、そこはヴォーリズの世界。

品のある校舎が回廊と庭園でつながれている。

日本人がヨーロッパの伝統的な様式に囲まれると、つい無条件降伏してしまう。

しかし、降伏なんかしている場合ではない。  

 

規格外の男ヴォーリズは伝統的な様式からどう逸脱したのかっ!

それを見極めることがツアーの目的なのだから。

 

UVとNaCl  2  /kro 丹後 (Vacation meeting / Kyoto / 2015)

UVとNaCl 2-1.jpg約20年、本当によくがんばった。

ひび割れ、穴あき、剥離。紫外線と塩分で満身創痍。

14mmの杉板を交換することになった。

ビスさえ、突風や台風の負圧で抜けている箇所がある。

ケイ酸カルシュウムや発砲ウレタン材は、跡形もないくらいに劣化している。

 

UVとNaCl 2-2.jpg

しかし、残念ながら全選手交代とはいかなかった。

多少の軒や風向きにより、6割はまだ生きていた。

闘える間が華。あと10年は現役続行してもらうことにした。

2色モナカの様な風貌も束の間、数年でまた銀色の全体像を取り戻すことだろう。

UVとNaCl  /丹後 海の家 (House/ Kyoto / 1997)

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「光と風」なんていうと、詩的に聞こえるがその意味するところは恐ろしい。

「太陽光による紫外線と潮風に含まれる塩分」がその正体である。

 

この建築は崖の上にあり、直射日光と日本海の濃い潮風に終日攻撃される。

付着した塩分が木材の表面から水分を奪い、紫外線を無防備に浴びるのだ。

 

化学的に説明できなくても、真夏の猛練習や海水浴を想像して頂ければ実感頂けるかと思う。

干からびた肌に塩粒が引っ付き、ヒリヒリと傷んだ記憶が蘇るのではないだろうか。

UVとNaCl、この強敵と向き合うことからすべては始まった。

 

 

UVとNaCl  2.jpg 

まず山側からの紫外線を壁で塞ぐ。

屋根と壁のスリットから絞り込んだ太陽光を絞り込んで、建物内に拡散させる。

海側はガラスで視覚的に開放するが、開放面積を小さくして潮風をカットする。

 

 

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理屈ではその様な方針になったが、問題は壁の材質である。


集落を観察すると杉が使われていた。

UVとNaClに攻撃されることで銀色に変色しながらも、耐えている事実が読み取れる。

また、開口の考え方も方針としては間違いなさそうだ。

 

だんだんと、情報の断片が組みあがりデザインの輪郭が見え始めた。

お元気ですか?/Flat house (house/ 2007)

お元気ですか?.jpgこの家が出来た時、心の底から喜んで頂いたことを覚えてます。

北からの光が、寺の本殿の背後から入ってくる様子に我々も感動しました。

お元気ですか?2.jpg

 

女性の一人暮らし故、防犯上開閉する窓を少なくしたいという要望が通気のスリットや隠しポストのアイデアにつながり、それがこの家の居心地の良さにつながったのだと思います。

 

車庫の横の黒い板の隙間がポストと通気口になっているなんて、あなたと郵便局と新聞配達と工務店と私しか知りません、、、って結構しってるやん!

 

 

 

ハウスメーカーや建材会社や住宅建築家の方などのもつ情報やスキルは、どんどん複雑化、専門化し、家をつくることはクライアントにとっては楽しみな反面、苦行になりつつあります。

p.b.Vはこの状況の中で家の設計に直面した時に非常に悩みます。求められるものが複雑で、それがクライアントの幸福につながるとは思えないから。

あなたの家を思い起こしながら、この様な家をつくる機会にいつかめぐり合いたいと夢想する今日この頃です。

難病が発症しないことを祈りつつ。

 

お元気ですか?3.jpg

 

壁と開口/Flat house (house/ 2007)

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「自然光」と「平らな家」という言葉は、1年後この様な外観を生んだ。

難しいのは壁と開口の関係だった。

カッコよく、、、という意味ではない。

 

 ・水の落下に逆らわない効率的な壁と開口の設け方とは?

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手前はp.b.Vの「丹後 海の家」。奥は隣地民家である。

12尺を超える壁の継ぎ目は上から重ねるように貼られている。

屋根から基礎に下るに従い、エレメントは順に奥に引っ込んでいくのである。

「丹後 海の家」はこの考えを転写している。

 

天から地への連続を意識した近世の大工の冴えに学びながら、

車庫と窓のための大きな開口を壁に納めた。

 

p.b.Vの詳細図は、工務店との加筆合戦の末、

近世大工の冴えは北国の小さな家に転写された。

 
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間取とメモ/Flat house (house/ 2007)


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間取とメモ書きとともに仕事の依頼が来ていた。

170㎡の四角い土地に100㎡くらいの家をつくるという内容で、

その詳細は以下のようなものだった。

 ・北側に向いた敷地で、南と西に隣家がせまっている。
しかし「自然光」を十分にとりたい。

 ・難病にかかっていて、数年後には歩行困難になる可能性がある。だから「平らな家」にしたい。

 
 

我々は鉛筆で描かれたギコチナイ間取と切実でシンプルなメモを見ながら

数か月間迷走した。

光庭をつくったり、天井高さを切り替えたり、トップライトをつけたり、、、

 

アイデア合戦に飽きたところで、依頼メモに戻った。
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「自然光」がたくさん入る「平らな家」

問いであったはずの言葉が、そのまま答えとなった。

 

北側道路の反対側は大きな寺の境内であった。

北側に大きな高窓をもつ、背の高い平屋。

窓からは寺の大屋根と緑が見え、北の天空光が流れ込む。 

 

考えるに値する「単純さ」に行きついたのだ。

before /札幌市庁舎ロビー(city hall robby renovation / 2010)

before 1.jpg物事にはbefore/afterがある。

変化についてのbefore/afterも重要だが、

「在るか無いか」についてのbefore/afterの違いは大きい。

この写真は田本研三という写真家が撮影した1871年の札幌の建設風景。

なんと、何にもない原野にトンカンつくった街なのである。

これを「創造的」と言わずしてどうする。

 

我々が札幌市庁舎ロビーのリノヴェーションの手がかりに飢えていた時に

この写真に出くわした。

それで、ずーっとこの風景を見続けていたわけだが、、、

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この風景に入り込み、街をつくっている気持ちになってみると

ある疑いようのない事実に思い当たった。

 

開拓労働者はどこで休憩していたのか?

おそらく、大きな資材を立て掛けたり、寝かせたり。

その傍らで、は休憩していたに違いない! 

 

その実感がこの絵に化けた。

これが現代都市の中に、beforeの風景を創り出す試みに発展していった。

音 /カムオンホール(clinic+day care+concert hall / Sapporo / 2007)

音1.jpgこの空間のテーマは「光」。。。のはずだった。

それがいつの間にか「音」になったという、こわい話をしなければならない。

 

この建物は精神科のクリニックとデイケアからなっている。

デイケアのスペースは中庭と高窓に挟まれており

街中の立地を感じさせない配置になっている。

空間使用の性格上、「光」を部屋全体に柔らかく拡散させることに苦心した。

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光の拡散について研究を重ねている時、この空間をコンサートにも使いたいことを告げられた。

光は原始的な方法で予測できても、音は無理。

しかし、音響設計の専門家をプロジェクトに入れるお金も時間もない。

 

不安で、不安で、、、

しかし、泣き言もいってられないので、次の仮説にすがることにした。

―音も光も波。光を拡散できれば、音も拡散するにちがいない。

 

この暴力的な仮説に従い、光源を拡散する天井のカタチを考え出した。

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高窓の光を両サイドの「八の字型」の天井と床の水平面でできる三角形に当てながら、

減衰拡散させる。

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この様な断面になった。

音の拡散なんて、本当はどうなるのか全くわからなかったが、

そんなことは、決して口には出さないのであります。