生産規模の大きなチーズ工房とお店をニセコ町につくる計画である。
①工場と店舗の組みあせ方
②大量に降る雪の処理
③奥まった建物の見え方
以上の3つが主な課題である。
まず1案考えると問題点が一目瞭然。
信じるに足るShapeをめざし、
飛び火的(あるいは泥縄式)に改善を繰り返す。
以下の9番目の模型が①②③を同時に解決する基本的なShapeである。
生産規模の大きなチーズ工房とお店をニセコ町につくる計画である。
①工場と店舗の組みあせ方
②大量に降る雪の処理
③奥まった建物の見え方
以上の3つが主な課題である。
まず1案考えると問題点が一目瞭然。
信じるに足るShapeをめざし、
飛び火的(あるいは泥縄式)に改善を繰り返す。
以下の9番目の模型が①②③を同時に解決する基本的なShapeである。
3つの目的を3の手段で解決するのは当たり前だ。
3つの目的を1~2の手段で解決できないかと考えるのが、設計という職業の習性だ。
しかし、3つの目的を0.5~0.7くらいで解決しようとするのが私たちの困ったサガだ。
このクリニックの待合は3つの方向に開かれる。
①診察エリアへの通路。
②受付のカウンター。
③スタッフエリアへの通路。
3つの穴が必要となるが、これを1つに統合し、このクリニックの空間的なアイコンにする。
しかもコストも時間も掛けずに制度の高い工法でつくる。。。
たった1つの手段を、よりシンプルに作り上げることで、1以下をねらう。
まず試しに、ラフ模型で受付とスタッフエリアに穴をあけてみる。
つぎに必要な3つの方向に其々穴をあけてみる。
穴を1つにまとめてアーチ状にしてみる。
間口をコンパクトにしてみる。
工場で分割してきたピースを短時間で組み立ててアーチにする。
受付を中心として空間的なアイコンとして完成。サインがなくても迷わない。
シラカバの合板をプレスすることで大きな厚板をつくり
それを各ピースにカット、現場でホールダウンにより組み上げた。
カバ特有の立体感のある木目により、アーチの板厚4センチという薄さは感じない。
これがset pieceのコンセプトだ。
【JIG】 治具。機械や家具の製作過程で、部品を所定の位置に導くための工具
この医院において長年使い込まれたマシンアートの様な技工用治具。
電気やガスやエアと連動しながら非常に精巧につくられている。
それは高度な手仕事に的確に応えるためだ。
我々が目指したのはこのクリニックの高度な手仕事と地域を繋ぐ建築である。
この精密でネンキの入った治具の様に。
「静かに目立たせる」
「中身を街に見せる」
「患者ファーストの空間をつくる」
「部屋どうしの見通しをつくる」
「チームの居場所をつくる」
街中で目を惹き、中の様子が伺え、患者の居心地がよく、
院内に閉塞感がなく、スタッフワークを創り出す建築。
これが高度な手仕事と地域を繋ぐためのJIG、その5つの目標である。
遠隔地の施工監理をサポートして頂いた仲村建築設計事務所
難しい納まりに尽力して頂いた増田工務店
残念ながらこれが今生最後の仕事となった岡平棟梁
以上の皆様に感謝申し上げます。
これは上層階が高齢者施設となっているビルの1階に内科クリニックをつくる仕事である。
この部分は昔、別のクリニックとして使われていたが、
今回は全く違う経営方針であるため、ほとんどを壊すことになった。
昔のクリニックは1階面積の半分を使っていた。(グレー部分。)
新クリニックは1階面積の7割を使うことになる。
課題は行列する柱の合間を縫って、クライアントの三つの要望を間取りに落とし込むことである。
①機能的な診療動線。
②患者ファーストの待合。
③未来への地域医療のタネ空間。
平面計画はエラーの連続だった。
ところで我々は工事費を安くするため、旧医院時代の水回りと防火区画の一部を残していた。(赤いライン)
私たちはこれが行列する柱を克服するための「すがるべきワラ」だと直感した。
完成したプランがこれである。
赤い部分が新たなクリニックのプランニングの重要な手掛かりになっていることがよくわかる。
まあ、今となって自慢げに言えることではあるが。。。
フットボール場20面。
奥に見えるのは太古の森。
右手木立の向こうは、前地主がつくった酪農建築群が隠れている。
中を覗いてみると、煉瓦、木、鉄、コンクリートを駆使した迫力の無人空間が佇んでいる。
この広い土地にヨーグルトやソフトクリームの製造プラントとショップをつくるのだが、、、
敷地が大きすぎて、建物配置がむずかしい。
腐心の末、太古の森を遠望し、片側に酪農建築群をチラ見させ、
それでいて道路からも発見できるという絶妙の「重心」が見つかった。
その重心の効果を引き出すような建築上のアイデアが出るかどうか。。。
平成28年3月 壮瞥町久保内中学校は11名の在校生とともに70年の歴史を閉じた。
学生は統合先の学校に移り新学期を迎える。
残されるのは無人の大きな校舎群と校庭。
全国の地方都市で頻発する状況だ。
人口減少する街において、こんなに大きな空間を再生するのは容易なことではない。
しかし、もしその大きな空間が人ではなく地元産の玉ねぎで賑わったらどうだろう。。。
昔は木造だった。
建替えられた、鉄筋コンクリートの標準的な校舎と鉄骨で出来た体育館
閉校イベントとして「歴史」と「感謝」が展示され、今もそのまま残されている。
搬入-洗浄-剥き-貯蔵-加工-出荷のラインを
教室群と体育館と増築棟にまたがって計画するのは非常に難しい作業だが、
「頭数」ではなく 「玉数」で空間を再生させるという事業者の発想に貢献したい一心である。
2018年4月に開館した「恵庭市 緑と語らいの広場」の名称は公募により「えにあす」となった。
「恵庭の明日つくる場所」という意味が込められている。
開館1年弱で約40万人もの方が訪れている。
勉強し、汗を流し、本を読み、コーヒーを飲み、談笑し、心身のケアを受けるのである。
そんな人たちが一つ屋根の下に集うのである。
「えにあす」という固有名称は私の中では
any us = 誰でも
という一般名称として、心の中で読み替えている。
This is the any us.
長い長い熟考期間と難工事を経て、この小さな石蔵は蘇った。
自重で崩壊寸前だった端部の石を取り去り体重を軽くする、、、
そんな単純なアイデアに行きつくまで2年弱を要した。
この半島にジンづくりの拠点をつくろうとしているチームのイベント。
真ん中の白い柱は「空気の樹」。
瀬戸内国際美術展で活躍したもので、アーティストの織咲誠さんから譲り受けた。
2014年4月に完成した中央図書館の改修は、家具工事のみで
閲覧室全体をユーザー目線で便利にする難しい仕事だった。
結果としては入館者や貸し出し数が3割アップするという「勝ちゲーム」だった。
しかし、1カ所「負け」があった。
どんなに混んでいる日でも、ここだけはガラガラだった。
この「負け部分」について、多くのヘビーユーザーに意見を聞いてみた。
「座ったときの無防備な感じ」
「目の前の雑誌書架に惹かれない」
だいたいこんな反応だった。そして納得した。
それから無人の席を見かける度に後悔と反省の日々が続いた。
しかし4年後、再試合の機会が訪れた。
やるべきことは単純明快だった。
座席の無防備さの解消。マニアックな雑誌書架を魅力的に。
かくして4年越しの再試合に勝つことができた。
歯を削る音や痛みは苦手だ。子供の頃の拷問の様な記憶がよみがえる。
設計のテーマというのは、つねにわかり易く、つねに見失わないくらいの方がいい。
ということで、ミもフタもない表現であるが、
このプロジェクトのテーマは「痛いの、飛んでけ」の設計。
部屋の輪郭や光のあつかい、素材や色のバランスなどの案出は
「痛いの、飛んでけ」「痛いの、飛んでけ」とつぶやきながらの作業となった。
壁と天井の境界、部屋と部屋の境界、自然光と照明の境界、素材どうしの色の境界
あらゆる境界をボカして、痛みの飛んでいく道筋をたくさんつくった!
つもり。
ちなみに治療ユニットのうがい用のボールの色が赤いが、それも「痛いの、飛んでけ」
のためのクライアントのナイスアイデアである。