12Rooms/カムオンホール(clinic+day care+concert hall / Sapporo / 2007~)

デイケアを兼ねるカムオンホールはメンタルクリニックが運営している。
ホールもデイケアもクリニックもオープン以来フル稼働である。
大地震による停電の時も、現在のコロナ禍にあってもその状況は変わらない。
従ってクリニック部門の25㎡ほどの待合室は常に満杯である。

その25㎡のスペースをさらに12の部屋に分割したいという要望があった。
飛沫感染を防ぐためである。
部屋といっても、超が付くほどコンパクトにしなければ納まらない。

これは昔つくった図書館の席である。

古い椅子を板で仕切ることで「Room」にしようとした。
周囲からは丸見えだが、座ってみると不思議に個室感があり、
読書マニアの居場所となっている。

 

今回はさらにコンパクトな設計が必要だった。

幅60センチ×奥行60センチ×高さ135センチの「Room」に体の70%ほどが納まる。
このユニットを回転させながら連結し、25㎡にびっちりと充填する。

設置は1時間、しかし構想は3カ月、、
いくら図面や模型で事前検証しても、試作品を眺めてみても
最終的に立ち上がる雰囲気はわからない。
眠れない日が続いが、構想時の予想を超える魅力的な待合室が出来た。

25㎡を12に細分割することで、
全体が一望できるのに誰とも視線は合わず、
周囲からは丸見えなのに個室感があり、
行き止まりの様で先がある、、
気の利いたパズルの様な場所が現れた。

音 /カムオンホール(clinic+day care+concert hall / Sapporo / 2007)

音1.jpg

この空間のテーマは「光」。。。のはずだった。

それがいつの間にか「音」になったという、こわい話をしなければならない。

この建物は精神科のクリニックとデイケアからなっている。

デイケアのスペースは中庭と高窓に挟まれており

街中の立地を感じさせない配置になっている。

空間使用の性格上、「光」を部屋全体に柔らかく拡散させることに苦心した。

音2.jpg

光の拡散について研究を重ねている時、この空間をコンサートにも使いたいことを告げられた。

光は原始的な方法で予測できても、音は無理。

しかし、音響設計の専門家をプロジェクトに入れるお金も時間もない。

 

不安で、不安で、、、

しかし、泣き言もいってられないので、次の仮説にすがることにした。

―音も光も波。光を拡散できれば、音も拡散するにちがいない。

この暴力的な仮説に従い、光源を拡散する天井のカタチを考え出した。

音3.jpg

高窓の光を両サイドの「八の字型」の天井と床の水平面でできる三角形に当てながら、

減衰拡散させる。

音4.jpg

この様な断面になった。

音の拡散なんて、本当はどうなるのか全くわからなかったが、

そんなことは、決して口には出さないのであります。