普通の白 /blanc cafe Ⅰ ( restaurant+house/ Gunma / 2000 )

ひとつはカフェ食堂。

ひとつは住まい。

ブランは白という意味なので、どちらも内外観のテーマは「白」だ。

そして主(あるじ)が白に込めた思いは、「簡素さ、普通さ」

 

外壁は少し荒目のモルタルに白を。

内壁は板目やフシのある杉板に白を。

 

ホームセンターで廉価で大量に売っている、あの普通すぎる白いペンキで

何度も何度も丹念に塗り込めた。

 

白を介して滲み出す手の痕跡や年輪が、人と空間をつなぐ

触媒になると実感してから、迷いなく漸進することが出来た。

 

カフェ食堂は、こんな感じ。

白 1.jpg

 

住まいはこんな感じ。

白 2.jpg

普通の白が自然環境や料理、そして生活調度の背景になっている。

細工の効いた、高価な白は小さな村には不似合なのである。

 

Trees 2  /札幌中央図書館 (Library renovation / Sapporo )

図書資料は分類基準が決まっている。

資料を探しやすい反面、知らない本に偶発的に出会うワクワク感に欠ける。

 

最近、街の本屋さんでは分類の垣根を無くし、本の配列をシャッフルすることで

ワクワク感を演出している。

一方、公共図書館では資料へのアクセスが重要なので、

ツ〇ヤの様には行かない。

 

しかし、今回のリノヴェーションでは、木立をモチーフにした本棚をつくり

部分的にシャッフルを試みた。

 
Trees2-1.JPG医療、工学、趣味など多ジャンルを隣接させると、相乗効果があるらしく

貸出率が跳ね上がった。

書店ではないのですぐに補充はできないから、木で出来たダミー本をつくって

開いた棚を埋めるという異常事態になった。

TREE 大.jpg

Trees 1  /札幌中央図書館 (Library renovation / Sapporo )

Tree 3.JPG

いくつかあるリノヴェーションの目的の一つは既存の閲覧室に新しい機能を加えることだ。

たとえばこの写真。今後増える電子図書をプロモートするスペース。

タブレット閲覧や電子書籍についてのレクチャーを行う。

 

「20年後、図書館から本は消え、タブレット専用WiHiと座席しかない

ガランとしたスペースになる」


担当者は言った。

このスペースはそれに向けた実験だ。



デジタル全体.jpg

くりぬかれた大木の幹の様な物体が3つあって、その中がタブレット閲覧ブースになっている。


Tree 2.JPG

そして3本の幹と建物の柱の囲まれたスペースはカーテンを引くとレクチャースペースになる。

レクチャー使用以外の時は開放されていて、幹の周りは閲覧席になっている。

Tree 1.JPG

階段とソファー 2  /kro 丹後 (Vacation meeting / Kyoto / 2015)

この日はアルフレックス社にソファーの完成形を確認に行った。

川崎の大きな物流倉庫内にあるリペアルームの扉を開けると、、、

階段とソファ2-1.jpg

黒くてスレンダーなフレームが横たわっていた。

脚は不等辺5角形を組み合わせたカタチになっている。

このフレームにスラブウレタンで出来た床が乗る。

階段とソファ2-2.jpg

パールトン防水加工された布で作られたカバーは

高い縫製技術で出来ており、全くの緩みや弛みがない。

 

そしてアルフレックス社の技術の高さはステンレスの脚にも現れている。

階段とソファ2-3.jpg

 

これはシルバーメッキではない。

ステンレス鋼を溶接して磨き上げている。

鏡の様に周囲の景観を写し込み、自らの存在は消えている。

東北の某ステンレス加工会社でつくられている。

 

金属が冷たいという意見もあるが、人の手によりここまで

丹念に磨かれたら、温もりさえ感じる。

 

このソファは間もなく川崎から数百キロ離れた北京都は丹後に運ばれて

短時間の内にセットされる予定だ。 

 

階段とソファー 1  /kro 丹後 (Vacation meeting / Kyoto / 2015)

階段の傾斜を心身のリラックスに活かせないか?

この問いは私を力強く導くとともに、試練を課した。

 

まずは手早く頭の中身を絵にした。

まるで巨匠のファーストイメージの様なものになってしまった。 こらアカン、、、

 


階段とソファ1.jpg  

体を包むための3次局面。複雑な骨組。困難な縫製。

課題は山積。

製作パートナーのアルフレックス社の反応もシブい。

これはモノづくりの過程としてはよくあること。

謙虚さと冴えが欠落しているのだ。

 

さて、それから半年たったある日、謙虚になった。

「階段の傾斜を活かす」という問いに再び向き合える状況になった。

(半年もかけんな!!)


階段とソファ2.jpg

板を傾斜に沿って折った様な形になった。

しかし階段の傾斜と同じにすると少し角度がキツい。

心身のリラックスのためには、もう少しゆるくしたい。

 

従って、微妙な角度に追従するような脚のアイデアが必要だ。

角度がどうなっても、プロポーションを気にせず、

自由気ままに納まってくれるカタチ。

 


階段とソファ3.jpg

アイデアなんてどこからやって来るかなんてわからない。

カーオーディオのスピーカーが振動に追従するため5角形メッシュに

なっていることを知ってから、私の人生に光が射した。(笑)

 

脚は不等辺5角形で、、

 

謙虚さを得るには時間がかかり、

冴えを得るには偶然が不可欠。

 

つづく。