Set piece/松藤医院(internal medicine clinic/ Iwamizawa/ 2018-2019)

3つの目的を3の手段で解決するのは当たり前だ。
3つの目的を1~2の手段で解決できないかと考えるのが、設計という職業の習性だ。
しかし、3つの目的を0.5~0.7くらいで解決しようとするのが私たちの困ったサガだ。

このクリニックの待合は3つの方向に開かれる。
①診察エリアへの通路。
②受付のカウンター。
③スタッフエリアへの通路。
3つの穴が必要となるが、これを1つに統合し、このクリニックの空間的なアイコンにする。
しかもコストも時間も掛けずに制度の高い工法でつくる。。。
たった1つの手段を、よりシンプルに作り上げることで、1以下をねらう。

まず試しに、ラフ模型で受付とスタッフエリアに穴をあけてみる。

つぎに必要な3つの方向に其々穴をあけてみる。

穴を1つにまとめてアーチ状にしてみる。

間口をコンパクトにしてみる。

工場で分割してきたピースを短時間で組み立ててアーチにする。

受付を中心として空間的なアイコンとして完成。サインがなくても迷わない。

シラカバの合板をプレスすることで大きな厚板をつくり
それを各ピースにカット、現場でホールダウンにより組み上げた。
カバ特有の立体感のある木目により、アーチの板厚4センチという薄さは感じない。
これがset pieceのコンセプトだ。

行列する柱 /松藤医院(internal medicine clinic/ Iwamizawa/ 2018-2019)

これは上層階が高齢者施設となっているビルの1階に内科クリニックをつくる仕事である。
この部分は昔、別のクリニックとして使われていたが、
今回は全く違う経営方針であるため、ほとんどを壊すことになった。

昔のクリニックは1階面積の半分を使っていた。(グレー部分。)

 

新クリニックは1階面積の7割を使うことになる。
課題は行列する柱の合間を縫って、クライアントの三つの要望を間取りに落とし込むことである。
①機能的な診療動線。
②患者ファーストの待合。
③未来への地域医療のタネ空間。

平面計画はエラーの連続だった。
ところで我々は工事費を安くするため、旧医院時代の水回りと防火区画の一部を残していた。(赤いライン)
私たちはこれが行列する柱を克服するための「すがるべきワラ」だと直感した。

完成したプランがこれである。

赤い部分が新たなクリニックのプランニングの重要な手掛かりになっていることがよくわかる。
まあ、今となって自慢げに言えることではあるが。。。