10years /野菜の駅(farmer’s market/ Ebestu/ 2015-2017)

野菜の駅竣工①.jpg二つの直売所が合体するまでに10年間の月日が必要だった。

我々が関わったのは直近の1年半。

記憶に残せない、いや残したくないくらいの嵐のような意見交換は単純すぎるカタチを生んだ。

野菜の駅竣工②.jpg

コストと面積と施工法のせめぎ合い、それに農業者直伝の環境克服技術がトッピングされ

シンプルかつコクのある仕上がりとなった。

前面の大きな庇の下は、特大のビニルカーテンで守られるようになっており、

イベントに来たお客さんや、開店待ちのコアファンを風雨から守る仕組みになっている。

野菜の駅竣工③.jpg

 

野菜の駅竣工⑥.jpg

このカーテンは牛舎用のもので、50mほどの長さのものでもハンドルで軽々操作できる。

足場用の鉄パイプは強風時のあおり止めである。

この土地は非常に風が強いので、さらに板を横に渡して防御を固めている。

そしてその板には出資した農業者の名前が守護神の様にペイントされている。

野菜の駅外観2.jpg

守護神というより、「来たお客さんは逃がしませぬ -_- 」的な意思表示というべきか。

 

内部は棚の面積とレジ動線に腐心した以外、何にも意図されたものはない。

野菜の駅竣工⑤.jpg

簡素さや建築的な仕掛けの無さは、もちろん新鮮野菜が容赦なく隠滅してくれる。

野菜の駅内観1.jpg

店内の一角に小さな家の様なテナントがある。

野菜の駅竣工⑦.jpg

出資者である町村農場とクレープメーカーとのコラボによるパイの新ブランドである。

農業倉庫としてなじみ深いギャンブレル屋根を アイコンにしている。

広大な原野には開拓時代からアイコンの存在が重要だった。

位置的な目印として、技術的進歩の指標として、がんばっている証しとして。。。

国道を挟んだ反対側は河畔林となっている。

木立越しに望むと、合体に要した10年の歳月が新しいアイコンを産み出しつつあることを実感する。
野菜の駅竣工④.jpg

 

 

ロート /野菜の駅(farmer’s market/ Ebestu/ 2015-2017)

漏斗1.jpg二つの直売所が一つに合体。

約50名の出資者である農家の方々には色んな考えや思いがある。

このプロジェクトが始まるときに我々の役割として「ロート 漏斗」という言葉が浮かんだ。

Goggってみると、、、

  粉体や液体を口径の広い部分に投入し、

  口径の狭い穴や筒から出す事で別の容器に効率良く移す為の道具

 

決して めった打ちされるサンドバッグではなく、ロートだ。この違いが大切。

毎回の打合せで発せられる多種多様雑多なご意見を、いったんは開いた耳から心に「投入し」

次回の打合せでは頭と手から計画案に「効率良く移す」、

そうゆう道具になろうと考えた。

1年半ロートに徹した結果、ようやく形が出来上がって来た。

そして我々のロートとしての役目はまだまだ続く。

漏斗2.jpg

完成間近になっても、容赦なく意見が飛んでくる。

ひとつひとつを理解し噛み砕き、一問一答的に即応することは困難だが、

自分がロートであると考えると、どんどん流し込める。

そしてそれは必ず一つの形に収斂するのだ。

漏斗3.jpg

幅20mの牛舎用カーテン、単管に支えられる販売台、落雪処理の屋根と壁の形状、

「赤=目立つ」というシンプルな発想、などなど

農業者の思いや考えは、我々というロートを介して、ひとつの建築に結実する。。。

はずだ。

いや、されるに違いない。

 

 

白いお神酒 /野菜の駅(farmer’s market/ Ebestu/ 2016)

白いお神酒.jpg

たくさんの農業経営者の方々と夜な夜な議論を重ね、ようやく地鎮祭にごぎつけた。

地鎮祭は通過儀礼とはいえ、つかの間の幸福感を与えてくれる大切な機会である。

杯の代わりに配られたのは牛乳瓶だった。

野菜の直売所といっても、この地には大きな酪農経営者の方々もいらっしゃるのだ。

 

白いお神酒2.jpg瓶にはsince1917と印字されていた。

この篠津の地に人が来たのは1881年。

前身の直売所の創業が1997 年。

1881年の頃の地図を行政のHPから借用すると、、、
白いお神酒3.jpg

新しい直売所の建設地は赤の矢印のところ。

このプロジェクトは、川を挟んだ二つの直売所の統合から始まっているが、

そのルーツがすでに地図には表現されていた。

1917(瓶印字)をながめながら

1881(村拓年)を夢想し

1997(創業年)がp.b.Vの創業とほぼ同じであることに興味を抱き

2016(統合年)がスムーズに運ぶよう祈った。

 

効率 /ふれあいファームしのつ(farmer’s market/ Ebestu/ 2016)

assemble0.jpg北海道の農場はデカい。そして冬は厳しい。

限られた時間と大きな空間で、点のような人間が作業を全うするためには

「効率」こそが大切である。

 

ハウスや畜舎など、建築の在り方を解く鍵も「効率」なのである。

直売所を如何に構想すべきか???

我々は「効率」の奥義を学ぶことにした。

 

これは畜舎を製材所に改築したもの。

最小の資材で、最大容量を獲得しようとする冴えが外観に現れている。

assemble1.jpg

 

これは農業用資材の倉庫。

ここも非常に細い部材で編込むようにつくられている。

グレーのセメント板は強度補強以外にも日照遮熱にも効果をもっている。。

assemble5.jpg 

そして細部に目をやると、各部材は最小限の方法で組み合わされていた。

assemble3.jpg 

総括すると「効率」の奥義は

 ・資材の「最低重量」

 ・空間の「最大容量」

 ・役割の「一石二鳥」

 

見学した内容は知識としてはわかってはいたが、

気持ちイイくらいの「効率」の追求が、「切迫感」や「緊急性」という

デザイン上のヒントにもなることに気付いた。 

合体! /ふれあいファームしのつ(farmer’s market/ Ebestu/ 2016)

二つの農家直売所が合体!してひとつになる。

  ふれあいの郷 + 第4直売所 → ふれあいファームしのつ

 

我々の任務は合体!をカタチにすることである。

合体!①.jpg

異なる組織を統合する難しさは容易に想像がついた。

告白するが、私は十数年前に農家の直売所に物心両面で完全に首をつっこんでいた。

 ・脱農協化のストーリーはいかに?

 ・産地と消費地の「直結」は成り立つか?

組織全体として真面目な目標はあったけど、売り方を巡って構成員の意見は合わなかった。

皆さんそれぞれが経営者なのだから当然なのだが。

従って、異なる組織の統合なんて本当に難しい。

しかし、見事に統合は成立した。

 

そしてバトンを受けた我々が合体!をカタチにするのである。

「難しいー」とつぶやきながら、シーズンオフになった2か所の直売所の姿を眺めていた。

合体!②.jpgひとつは、スーパーハウスを連結しただけ。

ひとつは、何と仮設用単管に波板とシートを張っただけ。

 

繁盛期の活気ある佇まいは夢か幻か!

 

そして傍らの倉庫用ビニルハウスのシートに目を向けると何やら書いてある。

合体!③.jpg

 

「ウェーブロック ムテキCHU ナス、ミツバチ利用栽培には使用できません。」

後半の意味は??だが、「ムテキ」のネーミングは最高だ。

モテキではなくムテキ。いやもしかしたモテキでも良かったかもしれないが、、、

 

スーパーハウス、仮設用単管、ムテキ

 

重責にビビることなく「前へ!」と背を押されている気がする。