p.b.V: 2015年4月アーカイブ

UVとNaCl 2-1.jpg約20年、本当によくがんばった。

ひび割れ、穴あき、剥離。紫外線と塩分で満身創痍。

14mmの杉板を交換することになった。

ビスさえ、突風や台風の負圧で抜けている箇所がある。

ケイ酸カルシュウムや発砲ウレタン材は、跡形もないくらいに劣化している。

 

UVとNaCl 2-2.jpg

しかし、残念ながら全選手交代とはいかなかった。

多少の軒や風向きにより、6割はまだ生きていた。

闘える間が華。あと10年は現役続行してもらうことにした。

2色モナカの様な風貌も束の間、数年でまた銀色の全体像を取り戻すことだろう。

UVとNaCl 1.jpg

「光と風」なんていうと、詩的に聞こえるがその意味するところは恐ろしい。

「太陽光による紫外線と潮風に含まれる塩分」がその正体である。

 

この建築は崖の上にあり、直射日光と日本海の濃い潮風に終日攻撃される。

付着した塩分が木材の表面から水分を奪い、紫外線を無防備に浴びるのだ。

 

化学的に説明できなくても、真夏の猛練習や海水浴を想像して頂ければ実感頂けるかと思う。

干からびた肌に塩粒が引っ付き、ヒリヒリと傷んだ記憶が蘇るのではないだろうか。

UVとNaCl、この強敵と向き合うことからすべては始まった。

 

 

UVとNaCl  2.jpg 

まず山側からの紫外線を壁で塞ぐ。

屋根と壁のスリットから絞り込んだ太陽光を絞り込んで、建物内に拡散させる。

海側はガラスで視覚的に開放するが、開放面積を小さくして潮風をカットする。

 

 

UVとNaCl 3.jpg

理屈ではその様な方針になったが、問題は壁の材質である。

集落を観察すると杉が使われていた。

UVとNaClに攻撃されることで銀色に変色しながらも、耐えている事実が読み取れる。

また、開口の考え方も方針としては間違いなさそうだ。

 

だんだんと、情報の断片が組みあがりデザインの輪郭が見え始めた。