Kro 丹後の最近のブログ記事

階段とソファ3-1.JPGカタチにするのに1年もかかった。

東京から発送されたソファピースは、野を超え山を越え

ようやく辺境の地にたどりつき、予定通り寸分狂わずに組み立てられた。

 

完成したカタチを見れば、最初からこれしかないような普通さ。

突出することも、埋没することもなく、至って普通。

しかし、「普通」に到達することの難しさは言葉では表せない。

 

「普通」は「凡庸」でもなければ「通俗」でもない。 

もちろん「普遍」でもない。

他でもないこの場所、この空間に最初から「普通」に存在すること。

 

出来てからゴタクはいくらでも言えるのだが、出来て心底よかったと思う。

階段とソファ3-2.JPG「普通」に至るまでには、数多くのエラーが必要だ。

そのためには「問い」が存在しなければならない。

最初は鼻歌でお絵かきしているのだが、すぐに手はとまる。 

やがては何に向かってのエラーかさえ判らなくなる。

所謂「煮詰まる」という状態。

脱出の手がかりは「問い」を持っているかどうか。

 

「階段の傾斜を活かす」という問いに対する私の普通の答えは

arflex社によるこのシンプルな製作図に凝縮されている。

 

p.b.Vの妄想のために高い技術と知識を、いつも惜しみなく提供して頂いているarflex社に

心より感謝しております。

 

階段とソファ3-3.jpg

この日はアルフレックス社にソファーの完成形を確認に行った。

川崎の大きな物流倉庫内にあるリペアルームの扉を開けると、、、

階段とソファ2-1.jpg

黒くてスレンダーなフレームが横たわっていた。

脚は不等辺5角形を組み合わせたカタチになっている。

このフレームにスラブウレタンで出来た床が乗る。

階段とソファ2-2.jpg

パールトン防水加工された布で作られたカバーは

高い縫製技術で出来ており、全くの緩みや弛みがない。

 

そしてアルフレックス社の技術の高さはステンレスの脚にも現れている。

階段とソファ2-3.jpg

 

これはシルバーメッキではない。

ステンレス鋼を溶接して磨き上げている。

鏡の様に周囲の景観を写し込み、自らの存在は消えている。

東北の某ステンレス加工会社でつくられている。

 

金属が冷たいという意見もあるが、人の手によりここまで

丹念に磨かれたら、温もりさえ感じる。

 

このソファは間もなく川崎から数百キロ離れた北京都は丹後に運ばれて

短時間の内にセットされる予定だ。 

 

階段の傾斜を心身のリラックスに活かせないか?

この問いは私を力強く導くとともに、試練を課した。

 

まずは手早く頭の中身を絵にした。

まるで巨匠のファーストイメージの様なものになってしまった。 こらアカン、、、

 

階段とソファ1.jpg  

体を包むための3次局面。複雑な骨組。困難な縫製。

課題は山積。

製作パートナーのアルフレックス社の反応もシブい。

これはモノづくりの過程としてはよくあること。

謙虚さと冴えが欠落しているのだ。

 

さて、それから半年たったある日、謙虚になった。

「階段の傾斜を活かす」という問いに再び向き合える状況になった。

(半年もかけんな!!)

階段とソファ2.jpg

板を傾斜に沿って折った様な形になった。

しかし階段の傾斜と同じにすると少し角度がキツい。

心身のリラックスのためには、もう少しゆるくしたい。

 

従って、微妙な角度に追従するような脚のアイデアが必要だ。

角度がどうなっても、プロポーションを気にせず、

自由気ままに納まってくれるカタチ。

 

階段とソファ3.jpg

アイデアなんてどこからやって来るかなんてわからない。

カーオーディオのスピーカーが振動に追従するため5角形メッシュに

なっていることを知ってから、私の人生に光が射した。(笑)

 

脚は不等辺5角形で、、

 

謙虚さを得るには時間がかかり、

冴えを得るには偶然が不可欠。

 

つづく。

 

 

 

UVとNaCl 2-1.jpg約20年、本当によくがんばった。

ひび割れ、穴あき、剥離。紫外線と塩分で満身創痍。

14mmの杉板を交換することになった。

ビスさえ、突風や台風の負圧で抜けている箇所がある。

ケイ酸カルシュウムや発砲ウレタン材は、跡形もないくらいに劣化している。

 

UVとNaCl 2-2.jpg

しかし、残念ながら全選手交代とはいかなかった。

多少の軒や風向きにより、6割はまだ生きていた。

闘える間が華。あと10年は現役続行してもらうことにした。

2色モナカの様な風貌も束の間、数年でまた銀色の全体像を取り戻すことだろう。

階段「室」2.jpg居心地のよい街角には、いい本屋そしてカフェ。

(かなり能天気な意見だ!)

 

ということで、本棚をつくった。 

この建築のベランダの手すりだった北山杉の磨き丸太を柱にした。

潮風と紫外線でネンキが入っている。

 

その反対側には、テーブルとベンチと兼ねた仕掛け。

階段の傾斜も利用して、寝っころがることもできる。

arflex社と開発中だ。

 

これで本屋とカフェが開店の運びとなるわけだが、

ビジネスや仕事の、息抜きと発想の場として機能するだろうか?

いや、機能して頂かないと困る、、、

階段「室」1.jpg 二つの階段が交差するところに出来た3畳ほどの踊り場。

 

別荘建築全体を「たすき掛け」につなぎ、

部屋から部屋への移動に遊び感覚を与え、同時に脚力も鍛える、、、

そんな意図はある程度受け入れられ、そのように使われた。

 

しかし、上下左右に解放された「街角」のような空間の潜在力を

もっと、もっと引出したいと考え20年が過ぎた。

 

 

 

個人所有の別荘から、

ビジネスミーティングのための賃貸スペースにリノヴェするにあたり、

そのチャンスが訪れた。 

 

 

1.5階分の高さから降り注ぐ自然光や音の反響を、脳の解放と覚醒に活かせないか。。。

 

世界中のイキイキとした街角の様に。