神戸女学院デザインプロモート: 2015年12月アーカイブ

建築家ヴォーリズは、様々なレベルのものづくりに取り組んだが「建築」だけはやらなかった。

(言いたい放題だが、、、)

その理由をザックリいうと、ヴォーリズは建築家ではなく「大建築家」だったから。

(言いたい放題にもほどがあるが、、、)

 

大地を裂き、柱を打ち立て、壁に穴を穿ち、屋根で覆い、必要とあらば全体を浮遊させる・・・

妄想と暴走しがちな建築家なら、構築物としての建築にこだわるはず。

しかしヴォーリズはもっと大きな妄想と暴走を望んだ。

ヴォーリズへの旅3  ①.jpg 屋根のダイナミックな形状より、スペイン瓦の色にこだわった。

オリジナルの瓦が失われても、アイコンの様に再生が可能だ。 

 

  

ヴォーリズへの旅3 ②.jpg

壁面そのものの形状より、タイルの生産方法にこだわった。

タイルにはスクラッチ(引っ掻き溝)が入っていて、

一枚一枚の色調が微妙に違うため、全体がシンプルな幾何学模様でも単調な印象を与えない。

  

 

 

ヴォーリズへの旅3 ③.jpg

そして、窓から見える風景よりもガラスそのものにこだわった。

大きな面で構成された型板ガラスで、顔料により黄金に光る。 

  

 

 

ヴォーリズへの旅3 ④.jpg扉よりも建具金物にこだわった。

そこには校舎のイメージやアーチ窓のデザインが施されている。

大きな建築が、小さな取っ手の中に封印されることで、

学生と教員が扉をクグる度に校舎を「撫ぜる」という奇跡の行為が起こる。

 

 

そして大建築家の究極の証しはこれだろう。

ヴォーリズへの旅3 ⑤.jpg

 図書館の天井にはカラフルなアラベスク模様が入っている。

型紙を切り抜いて、色を塗るという単純な工法で出来ているが、

これがアイコンとしては有名で、学生にも浸透している。

 

建築物そのものより、部位にこだわわるヴォーリズだが、これは部位というより

取り外したり剥がすことも出来ない。

 

この様なこだわりが、ヴォーリズの死後に産み出したものは、、

 ・校舎増築やメンテにおいて、オリジナルデザインの継承が安価で容易になったこと。

 ・阪神淡路大震災などの災害復興時にもオリジナルイメージの再生が容易だったこと。

 ・見慣れ、親しまれる瓦やタイルや模様は、アイコンとして世に流布しやすいこと。

 

ヴォーリズの妄想と暴走の本質は、構築物としてのオリジナリティが評価の対象になる「建築遺産」という重ーい課題を複製可能のアイコンによって、完全に開放することだったのだ。

 

「永続性」の必殺技といわれる伊勢神宮の式年遷宮より、もっと軽快で愉快なこの方法を

発見したところで「ヴォーリズへの旅」は終わり、今度は我々がつくる番が来たのである。