自由の森こども園の最近のブログ記事

森へのトンネル0.jpgこれは工事中の打合せに使ったイメージカット。

左が既存幼稚園。多角形の砦のような建築。

右が我々が関わった保育園。

真ん中の渡り廊下で接続されている。

裏側に深い森がある。

森に抜けるために渡り廊下はブリッジになっている。

黄色い壁の間が階段とトンネル。

森へのトンネル.jpg

このプロジェクトの難しさはブリッジとトンネルに集約されている。

傾斜、木立、既存園舎の基礎を縫い合わせるように施工するのは至難だ。

階段の勾配や壁のカーブをクライアントや施工会社と何度も検討し、施工にこぎつけた。

森へのトンネル②.jpg

ブリッジ上の廊下は小さな部屋の様になっていて

一方の窓からは階段が、もう一方の窓からは森が見える。

廊下の向こうには保育室に入る扉が並んでいる。

森へのトンネル③.jpg

保育園の高さは出来るだけ低くし

背後に砦や森が潜んでいることを感じさせる様にした。

 

設計や施工チームがつくったのは生まれたての子供。

今はぎこちなさがあるが、やがては森が秘める力や園の皆さんの手により

成熟した環境に育つだろう。

ステンドグラス①.jpg南フランスにある小さな教会。

画家マチスがデザインしたステインドグラスが空間を元気にしている。

これを保育室のガラスに活かしたいのだが、まことに残念なことに、まだ現地を見ていない。

しかし、見ていないからと言ってあきらめることは出来ない。

 

藁にすがりつく思いで、AMAZONから製作過程の記録本を購入した。

ステンドグラス②.jpg

誰かが言った。

「試作と失敗の山から絞り出された一滴の[濃さ]こそが人に伝わる」

まさにその通りの内容だ。

 

今回の製作方法はガラスをステインする(染める)のではなく、プリントシートによる。 

カラーデザイナーのY.Sさんと当社のGデザイナーA.Hとともにエラー量産の日々が

はじまった。

ステンドグラス④.jpg

これは6パターン目くらいのもの。

見つけ出さなければならないものが見えてきた。

 ①プリントカラーと光を透過したときのカラーの補正

 ②単調な色ノリを克服する方法

 ③グラフィックパターンはそこから生まれる

つまりグラフィックばかりを考えていてもダメなのである。

マチス先生には当たり前すぎることなのだろうが。。。

 

①を克服するためにカラーグリッドをつくりオフィスの窓に貼った。

ステンドグラス③.jpg

 

②の克服には苦戦が予想されるが、ひとまず原点にもどると

ステンドグラス⑤.jpg

ステインドグラスは当然ながら、機械がつくるのではなく職人の手がつくる。

従って、細部にユレ、ムラ、ユラギがある。

これが全体の柔らかい印象にとって、非常に大切なのでは!

と気付きはしたが、、、

具体的な打開策は、Y.SさんとA.Hのさらなるエラー増産に委ねるしかない。

ダメージキャッチャー 森 0.jpg森の中の幼稚園。 増築の難しさは屋根のカタチだ。

 ・広く    → 大きな軒庇をつくるため 

 ・低く    → 砦のような既存園舎を引き立てるため

 ・変形   → 周囲の大木をかわすため

 ・折る    → 雨水を集めて、森へかえすため

 

以上のような条件をカタチにしたら、こんな風になった。

ダメージキャッチャー 森1.jpg

 

全体は中央の溝に向かってゆるく傾斜がついていて

そこに雨水を集めて、左端から地面にもどす。

輪郭が変形しているのは大木や既存園舎との位置関係を考えた末の結果である。

右手の台形状の窪みは、ハシゴをかけるためのものである。

秋、山盛りの落ち葉を拾いにいくからだ。

 

毎度のことながら、絵に描くのは簡単。

しかし、色んな方向に角度をもった屋根の鉄筋を組むのは大変だ。

屋根の輪郭と建物の壁の輪郭も違うから、余計難しい。

ダメージキャッチャー 森2.jpg

わたし、描く人。

あなた、つくる人。

不遜だが、鉄筋を組めない我々とってはそれが現実だ。

 

祈りながら上がった屋根の上では、本当にキレイに鉄筋が組まれていた。

現場監督も私も、工芸品の様な仕事に

「コンクリート打つのやめて、鉄筋だけの屋根にしましょう!!」

「イイ、イイっ。それがイイ!」

という話になったのだが。。。

 

もちろんそんなコトしたら、二人ともクビになる。 

 

斜面と樹①.jpg 自由の森幼稚園は鉄道と住宅地に挟まれた民有林の中に建っている。

森という言葉は例えや願望ではない。

多角形の園舎は本当に木々に埋もれるように建っている。

 

我々の任務は幼稚園の隣に保育園を増設することなのだが、

環境へのダメージを最小にしながら建築物をつくることは本当に難しい。

 

園舎の横にある園児の遊び場に何とか建てることが可能となった。

斜面と樹②.jpg

しかし全ての樹木をそのままにして建物をつくることはどうしても出来ない。

写真左端の広い枝振りの1本を移植をすることで何とかまとまったスペースが出来た。

問題は右に見える列柱の様な4本の樹。

写真ではわからないが、樹の向こう側は沢に向かって落ち込む急斜面になっている。

根は急斜面の崩落を防いでいるに違いない。

 

樹木と斜面が力学的に拮抗する現状に対し、どう建てるべきか。。。

実感のある手掛かりが必要だ。

それからというもの、樹を見たら根元をみる習性がついた。

しばらくは、「木を見て、森を見ない!」期間が続くのである。

森の中.jpg住宅地に隣接した深い森。入っていくと体感気温が下がる。

沢があり原生林が密生するこの難所に20年かけて築かれた幼稚園。

園舎を中心に隠れ家や遊び場が点在している。

 

こども園として拡張するに当たり、保育部門を増築することになった。

20,000㎡の広い森であっても、環境ダメージを最少にする増築敷地を発見することは困難だ。

カメラと巻尺を手に森をさ迷う日が続く。

 

森の中2.jpg

木や敷地の傾斜をニラんでいると細長いスペースが見えてきた。

何とかそこに入るように手を変え品を変え、何度も試行錯誤。

木をかわし、斜面に吸い付き、既存園舎に食い込んでいく様な

コンパクトな輪郭が姿を現した。

 

しかし喜びもつかの間、運営条件や構造上の接続条件など、山積課題の入口に

立てたというだけのことだった。