札幌市庁舎ロビーの最近のブログ記事

ロビーの片隅に都市札幌の構想者佐賀藩士島義勇(よしたけ)の銅像が立っている。

銅像の眼差しは、構想のために自ら登った円山の頂部に向けられている。

実際に建設された大都市の真ん中に立ち、構想時の自分を見返すという複雑な関係性になっている。

三角形のタイルが貼り巡らされた床を原野に見立て、そこに開拓の生活基点を配するのが

コンセプトである。

 

 

原野の生活基盤1.jpg

 

 

 

まず、開拓キャプテン島の足元を照らす行燈 兼 コーヒーテーブル。

島自筆の文字が開拓コンセプトとして彫り抜かれている。

小さな建築3.jpg

 

 

 

背後には松明(たいまつ)兼カウンターテーブル

小さな建築5.jpg

  

 

原野には資材置き場 兼 ベンチ 兼 ワークテーブル 小さな建築.jpg

小さな建築2.jpg 

その他、情報やコミュニケーションのための生活基点 

小さな建築7.jpg

このプロジェクトを総括すると、殺風景な市庁舎ロビーを、ユーザーや職員のための

居心地の良い中間領域として機能させるために、

食事や休息や談話のために必要な機能を効率よく点在させる試みである。

 

本体の構造や設備や仕上げにはノータッチで、工場から運び込まれて

わずか2日間で組み上げられた。

実際の原野開拓に負けないくらいのスピード感が、デザインの方向を決めている。

 

200万人都市札幌が生まれる直前の姿を、庁舎ロビーにどう出現させるか?

海路や水路を経て原野に運び込まれた都市建設の用材は、荷揚げされた近辺で

寝かされ、あるいは立て掛けられていたに違いない。

 

まずは寝かされた用材の姿を手掛かりに長椅子を考えた。

  長椅子.jpg

カラマツの集成材とステンレスの板で出来ている。

 

つぎに立て掛けられた用材から着想を得て、テーブルスタンドをつくった。

斜材テーブル.jpg

大きな用材の陰で一息つく。そんなコンセプトである。

before 1.jpg物事にはbefore/afterがある。

変化についてのbefore/afterも重要だが、

「在るか無いか」についてのbefore/afterの違いは大きい。

この写真は田本研三という写真家が撮影した1871年の札幌の建設風景。

なんと、何にもない原野にトンカンつくった街なのである。

これを「創造的」と言わずしてどうする。

 

我々が札幌市庁舎ロビーのリノヴェーションの手がかりに飢えていた時に

この写真に出くわした。

それで、ずーっとこの風景を見続けていたわけだが、、、

before2.jpg この風景に入り込み、街をつくっている気持ちになってみると

ある疑いようのない事実に思い当たった。

 

開拓労働者はどこで休憩していたのか?

おそらく、大きな資材を立て掛けたり、寝かせたり。

その傍らで、は休憩していたに違いない! 

 

その実感がこの絵に化けた。

これが現代都市の中に、beforeの風景を創り出す試みに発展していった。