それがいつの間にか「音」になったという、こわい話をしなければならない。
この建物は精神科のクリニックとデイケアからなっている。
デイケアのスペースは中庭と高窓に挟まれており
街中の立地を感じさせない配置になっている。
空間使用の性格上、「光」を部屋全体に柔らかく拡散させることに苦心した。
光の拡散について研究を重ねている時、この空間をコンサートにも使いたいことを告げられた。
光は原始的な方法で予測できても、音は無理。
しかし、音響設計の専門家をプロジェクトに入れるお金も時間もない。
不安で、不安で、、、
しかし、泣き言もいってられないので、次の仮説にすがることにした。
―音も光も波。光を拡散できれば、音も拡散するにちがいない。
この暴力的な仮説に従い、光源を拡散する天井のカタチを考え出した。
高窓の光を両サイドの「八の字型」の天井と床の水平面でできる三角形に当てながら、
減衰拡散させる。
この様な断面になった。
音の拡散なんて、本当はどうなるのか全くわからなかったが、
そんなことは、決して口には出さないのであります。