p.b.V: 2018年6月アーカイブ

法律上、2階から降り口の離れた二つの階段が必要だった。

二つの階段をX型に束ねて交叉させると、「降り口の離れた」という条件をクリアした。

階段ではなく「丘」にならないかと考えた。左右上下に風景の変化を発見しながら登る丘。

しかし、模型のままでは人が丘の途中で落下してしまう。風景の変化を損なわずに安全策も講じたい。

交叉する階段①.JPG

思案の末、細かい鉄を編んだカゴを階段にかぶせてみた。メッシュ状の書架からは向こうが透けて、風景の展開が感じられる。書架は階段側からも使えるから、本も丘の風景の一部である。

交叉する階段④.jpg

階段中央の踊り場の真下が図書館の入口だ。

だから階段にある本は図書館のものではなく、寄贈によるものだ。

この丘は貸し出しを管理する図書館ではなく、利用者自らが育てるブックトレードの場なのだ。

交叉する階段②.JPG

街のメインストリートから公園に抜ける100m余りの道が建物に沿って設けられている。

庇は歩道や駐車場に水や雪を落とさないために、それ自身が樋として考えられている。

ギャラリー①.JPG

庇は工場の屋根に使う折板を長手方向に使って、それ全体を排水ための面的な樋にしているのだ。

だから水は横にこぼれない。

雨水はいったんWの谷部分に集水させて、たて樋から地中に排水している。

ギャラリー②.jpg

柱もなく、自転車も快適に走っている。

ギャラリー④.jpg

そして抑揚のある庇の下を歩くと「ある感覚」を経験する。

連続しているのに異なる部屋をくぐり抜けて行く感覚。

日本建築で言うと、欄間の下を歩んで奥に向かう様な。

抑揚のリズムと建物への入口をリンクさせて、無言のサインになればとも考えた。

大人は文字サインがないので迷うが、子供は本能的に入口に吸い込まれていく。

庇もまた人の本能を導く「緩くて長い溝」なのだ。

長い樋⑤.jpg