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このプロジェクトは中身がたくさんあって楽しそうな企画である。

図書館、コンビニ、放送局、フィットネスジム、テニスコート、屋内広場、地域支援センター、、、

室名を紙に書いてハサミで切り抜き、机の上に並べてみるだけで出来事は起こりそうだ。

でもそれでは芸も能もない。何が必要なのか?何をつくるべきなのか?

・・・なのか?・・・なのか?

そう繰り返すうち「?」に翻弄される快感が芽生えた。

かくして答えは見つかった。!   「?」をつくるのだっ!

 

1年数か月がたち、2018年4月1日開館記念日を迎えた。当日の朝、エントランスをくぐると、、、、「?」と出くわした。

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本棚と言えば本棚。手すりと言えば手すり。壁と言えば壁。

しかし使えば使うほど、使い方を考えさせられるもの。

それが「?」だ。

開館当日の訪問者の表情は「面白いー!」というより「?」だった。

さあ、試合開始だ。

タイムアップのない「?」と「!」の熱戦がはじまった。

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内部から支えている木の骨組みだけ残して、沈下している部分の軟石をはずした。

中に入ると、、、

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建設以来、ずっと暗かった石蔵に光が射しこんだ。

そして再び外側から壁を貼る。

とにかく軽量な壁。

サランラップで包みたいくらいだが、、、

軽量×耐水×耐風圧×安価=ポリカーボネート中空板22mm+カラマツ板材12mm

となった。

ポリカは国内メーカーから調達すると250万円。

生産地イタリアから台湾経由で輸入すると70万円。

なぜそうなるかはさておき、こんな感じになる。

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七転八倒、艱難辛苦、呉越同舟、孟母三遷、蒙古襲来、、、

とにかく苦しんだ末に完成した5分の映像。

3000カット余りのスチールと十数時間に及ぶビデオ。

無限の展開が可能なはずの情報量のうち99.9%を断捨離し完成した。

写真家、音楽家、映像作家の協力を経て

映像の世界の深さ、難しさ、楽しさを十二分に満喫した6か月間だった。

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映像の大半は半島の自然や暮らしを紹介するものだが、途中に建築の変身をテーマにした

十数秒が挟まれる。

スチールとグラフィックと音楽とテロップを合成してつくったものだ。

木造の鰊加工工場、コンクリートブロックのサイロ、鉄骨の牛舎。

近代産業の遺物が変身するくだりである。

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数コマの連写で、瞬時にそして少し乱暴に建築のロケーション・サイズ・素材感・アクティビティを伝えるためには有効なプレゼン方法だと思った。

 

しかし、3Dだろうが4DだろうがVRだろうが、最終的には2Dのスクリーンに投影される

映像の世界はつねに可能性と限界が隣り合っている。

閃きや感性がなければ創れない、厳しい世界だ。

この魅力的で危険すぎるヌカルミを卒業し、建築の世界にもどる時間が来た。

 

見世①.jpg店をミセと呼んだ時の語源は「見せ」。

店をタナと呼んだ時の語源は「棚」。

「店=見せるための棚」となるが、これを乱暴に再解釈するならcontent。

隠したい中身ではなく、積極的にひけらかしたい中身。

 

このプロジェクトには図書館やフィットネス、コンビニ、保健センター

など様々なcontentが入る建築である。

一方、この建築物は駅前通りと公園をつなぐ約100mのバイパスにもなる。

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庇の下の歩行空間には人の目線に合わせた窓が並ぶ。

そこを歩くと、、、

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 ルームランナーやハングバーと格闘する人たち

 ヨガで汗だくの人たち

 マガジンやフードを物色する人たち

 勉強にいそしむ人たち

 まちづくりの準備をする人たち

 検診車に列をなす人たち

が格子状の窓から断続的に見える。

 

消費プレッシャーをあびる大都市の商業空間ではcontent は「商品やインテリアデザイン」だが、

地方都市においてcontent は「人々が何かに向き合う姿そのもの」である・・・

と直感するがそれはなぜか!?!????

じっくり考えてみたい問いである。

  

 

減量①.jpg この小さな石蔵には亀裂が走っている。赤い線がそれだ。

原因はすぐよこに流れる生活用水路の沈下である。

どんどん亀裂は大きくなり、赤線の幅は大きい所で3~4センチにもなる。

小さな石蔵でも、沈下を抑制するような補強をマジメに考えると、

コンクリートと鉄の ぎこちないギブスで全体を覆うことになる。

ギブスを避けるためには、沈下部分を壊して建物全体を小さくするしかない。

 沈下も抑えたい。。。

 でも補強を最小にしたい。。。

 でもでも規模を小さくするのもいやだし。。。

どんどん開いていく亀裂を眺めながら逡巡すること1年半。

ついに補強でも縮小でもない第三のアイデアが生まれた。

「減量」である。

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沈下エリアの石を丁寧にはずし体重を軽くする。

中の木の骨組みを露出させ、

透明の超軽量中空ポリカで覆う。

内部に控えめなギブスをつけた。

沈下は微量ながら進行しても、木の骨組みが変形に追従する。

 

約90年間、暗くてヒンヤリした石蔵の内部はこんな風だった。しかし、、、

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「減量」により解放された壁面から大量の光が差し込み、明と闇が衝突し融合する空間になる。

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窓にも働いてもらわなくてはならない。

全国の「働く窓」を取材した。

 

 

江戸期の商家の窓。明らかに外敵からの防御のために働いている。

しかし、内側から見ると防火のために漆喰で白く塗られているため、光を拡散するためにも働いている。いいーねっ!

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これは日土小学校の窓。

防御の目的はもたない。漆喰で塗られているわけでもないので防火性もないし白いわけでもない。

しかし、連続する細い格子がうすいグリーンでぬられているため、内部は非常に柔らかい光に満たされる。白との違いはその場に行ってみないと実感できない。

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下は神戸の商業施設の窓。ガラスを支える柱の正面と奥のピースが黒と白で塗り分けられている。

つくられた時期も目的も違うが、前述の商家と小学校の例を重ねると、この窓がどう働いているかが理解できる。

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最後は昭和初期の建物のリニューアル部分の窓。

この窓も地味によく働いているように見えた。人気のカフェで、外の椅子で待つ人も多い。

さてこの窓がどう働いているか、想像してみてください。 ^_^.

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この複雑なプロジェクトを進めるにあたり、建築の各パートはそれぞれ大いに働いてもらわなくてはならない。

まず全国で「働く鉄」を取材した。

まず大阪森ノ宮のキューズモール。店舗やフットサルコートやランニングトラックが

鉄骨によって支えられたり吊られたりして、利用者はその存在にほとんど気付かない。

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フットサルコートには柱がなく屋根だけが浮いているようにみえるが、、、

働くsteel⑤.jpg 実は上から吊り上げられている。人の視線から一歩下がって働く鉄の姿を目の当たりにした。

 

 

次は愛媛の日土小学校。

横揺れを防ぐ鉄のブレース。真ん中のリングがバッテンの要になってがんばる。

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でも近寄ると、、、前後ダブルになって、細い鉄筋が力を合わせてがんばっている。

鉄は引っ張っても、押し込んでも、捻っても、強いから使い方で役に立つ。

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目立たないけどwork rate の高さが鉄の持ち味なのだ。

 

野菜の駅竣工①.jpg二つの直売所が合体するまでに10年間の月日が必要だった。

我々が関わったのは直近の1年半。

記憶に残せない、いや残したくないくらいの嵐のような意見交換は単純すぎるカタチを生んだ。

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コストと面積と施工法のせめぎ合い、それに農業者直伝の環境克服技術がトッピングされ

シンプルかつコクのある仕上がりとなった。

前面の大きな庇の下は、特大のビニルカーテンで守られるようになっており、

イベントに来たお客さんや、開店待ちのコアファンを風雨から守る仕組みになっている。

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このカーテンは牛舎用のもので、50mほどの長さのものでもハンドルで軽々操作できる。

足場用の鉄パイプは強風時のあおり止めである。

この土地は非常に風が強いので、さらに板を横に渡して防御を固めている。

そしてその板には出資した農業者の名前が守護神の様にペイントされている。

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守護神というより、「来たお客さんは逃がしませぬ -_- 」的な意思表示というべきか。

 

内部は棚の面積とレジ動線に腐心した以外、何にも意図されたものはない。

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簡素さや建築的な仕掛けの無さは、もちろん新鮮野菜が容赦なく隠滅してくれる。

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店内の一角に小さな家の様なテナントがある。

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出資者である町村農場とクレープメーカーとのコラボによるパイの新ブランドである。

農業倉庫としてなじみ深いギャンブレル屋根を アイコンにしている。

広大な原野には開拓時代からアイコンの存在が重要だった。

位置的な目印として、技術的進歩の指標として、がんばっている証しとして。。。

国道を挟んだ反対側は河畔林となっている。

木立越しに望むと、合体に要した10年の歳月が新しいアイコンを産み出しつつあることを実感する。 野菜の駅竣工④.jpg

 

 

漏斗1.jpg二つの直売所が一つに合体。

約50名の出資者である農家の方々には色んな考えや思いがある。

このプロジェクトが始まるときに我々の役割として「ロート 漏斗」という言葉が浮かんだ。

Goggってみると、、、

  粉体や液体を口径の広い部分に投入し、

  口径の狭い穴や筒から出す事で別の容器に効率良く移す為の道具

 

決して めった打ちされるサンドバッグではなく、ロートだ。この違いが大切。

毎回の打合せで発せられる多種多様雑多なご意見を、いったんは開いた耳から心に「投入し」

次回の打合せでは頭と手から計画案に「効率良く移す」、

そうゆう道具になろうと考えた。

1年半ロートに徹した結果、ようやく形が出来上がって来た。

そして我々のロートとしての役目はまだまだ続く。

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完成間近になっても、容赦なく意見が飛んでくる。

ひとつひとつを理解し噛み砕き、一問一答的に即応することは困難だが、

自分がロートであると考えると、どんどん流し込める。

そしてそれは必ず一つの形に収斂するのだ。

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幅20mの牛舎用カーテン、単管に支えられる販売台、落雪処理の屋根と壁の形状、

「赤=目立つ」というシンプルな発想、などなど

農業者の思いや考えは、我々というロートを介して、ひとつの建築に結実する。。。

はずだ。

いや、されるに違いない。

 

 

このプロジェクトは北海道/積丹半島/積丹町の移住定住促進動画の製作である。

積丹は国内屈指の低い人口密度と高い人口減少率を誇っている。

誇っている? いや、誇っていない。憂いている。もがいている。

しかし、自治体によるこの手の動画は世の中に溢れかえっている。

従って、設計事務所である我々がつくる意味が重要だ。

つまり、動画づくりのルールを一切しらない我々がつくる意味を実感しなければならない。

動画という疑わしい言葉を解剖しているうちに、すべてのムービーは

静止画の連続から出来ているという事実にたどり着いた。

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写真家 星野麻美さんとともに積丹半島を静止画として「切取る」旅がはじまった。

2016年8月から2017年1月にかけ、撮りためたカットは6000枚になった。

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次に考えたのは、どのようにカットを連続させるか。。。

一番単純なのは次のような方法だろう。

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カメラを固定し、微妙に動く対象を連写する。

連続再生してみると、波の動きで中々近づけない恋人たちのジレンマが映し出されている。

 

次は、カメラを動かし、その間に対象を操作するという方法。

クレイアニメの手法である。

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これは建築をヴィジュアルとして取り扱うのには可能性のある方法だ。

その他、時間や季節をまたいだ定点撮影、長時間露出などを試みた。

北海道映像記録社の協力で、ビデオによる動画も同時に撮影した。

素材は売るほど手に入った。編集に入れる。

と、ここまではよかった。

大きな問題がに気付いた、、、

動画づくりのルールを無視している我々の落とし穴、、

シナリオがなかったのだ!!!

かくして、地獄の日々がはじまった。