Canto Ostinatoはオランダ人の作曲家Simeon ten Holtによるピアノ連弾のための楽曲である。
2秒弱のシンプルな旋律が延々と反復される。
どれくらい繰り返されるのか?
2時間から24時間、それは演者の体調とノリ次第。
あなたが着席すると、4台のピアノと照明器具がセッティングされている。
演奏は静かに静かにはじまる。
それはまるで、朝陽とともに暗闇から姿を現す「波」の様である。
時間の経過とともに旋律は強弱を帯び、
南中の陽光と波が幸せそうに戯れる光景を思わせる。
「一度たりとも同じ波なんて無いんだ!!そうだ。そうだ。。。 」
あなたは海を眺めながら、かつて一度はこう思った発見をここでも繰り返す。
恋人とのこと、探し物の心配、今晩の食事、健康診断の結果など
日常の些末なことも脳裏を去来する。
さらに時間は経過する。
一時間以上を経て、旋律は直射日光の熱を冷ますように沈静化し、
同時に雑多な感情は消え、再び旋律に神経が集中しはじめる。
そして、いよいよ曲の収束を予感が。
照明器具は開演時から、実はゆっくりと輝度を下げており、
気付けばすっかり暗くなり、日没の最後の一滴を残すのみとなった。
ついに光も音もフェイドアウトし演者も消える。
2015年3月11日 私はこの楽曲を向井山朋子さんの演奏で聴いた。
3.11、寄せては返す波動への想いを新たにしながら。
Canto Ostinatoはyou tubeでも体験できます。
一切何もせず、反復に身を委ねてください。
時間の流れ自体には何の意味もなく、歴史や記憶を創り出しているのは
人間であると気付くのです。
美の巨人たちかっ!?
ヽ(´o`;