海面に反射した月光は、輪郭のボヤけた小さな衛星の写像である。
暗夜に光る月自体も、太陽光による写像の一部である。
そして波面の光は眼球に写像を結び、凝視という時間を経てついに「心に写像する」。
太陽 →→→→ 月 →→→ 海面 →→ 眼球 → 心
恒星の光は4回の写像を経ながら、人間の心に向かって徐々に距離を詰めるのだ。
建築にとって重要なのは最終写像の距離X。
最終写像が最短・最速となるように建築をセットしなければならい。
最終写像が切断されるような環境はご法度だ。
超遠方と己の距離を見失うなら、
脅威への感度は下がる。
「見える」と「見得る」のは違う。
最終写像を「見得る」に結実させる建築こそ、
未来への「問い」である。