ラップする遺構

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鉄は潮風に弱く、薄い波板は強風に耐えられない。この常識を逆手にとり、相手の強打をスウェーバックでかわすアウトボクサーのように、脆弱さを見方につけて、この住居は自然浸蝕と対峙している。

鉄やプラスチックの薄い波板は建築の外壁というより、むしろラッピング材だ。骨組み本体は幾度の拡張を重ね原形をとどめてはいない。その都度表面はラッピングされて空間拡張されている。

ハナレの様な作業場が、透明なプラスチック材で簡便にラップされていることが、それを物語る。

「拡張も縮小も自在」といった融通性・仮設性を武器に、対抗不可能に思える自然と対峙する建築である。


かつて自然の脅威に一度は淘汰されたかの様なこの建築は、逆に未来永劫に存在しえる「遺構」のオーラを発散しながら、テシオの沿岸に建つ。