2010年1月アーカイブ

ラップする遺構

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鉄は潮風に弱く、薄い波板は強風に耐えられない。この常識を逆手にとり、相手の強打をスウェーバックでかわすアウトボクサーのように、脆弱さを見方につけて、この住居は自然浸蝕と対峙している。

鉄やプラスチックの薄い波板は建築の外壁というより、むしろラッピング材だ。骨組み本体は幾度の拡張を重ね原形をとどめてはいない。その都度表面はラッピングされて空間拡張されている。

ハナレの様な作業場が、透明なプラスチック材で簡便にラップされていることが、それを物語る。

「拡張も縮小も自在」といった融通性・仮設性を武器に、対抗不可能に思える自然と対峙する建築である。


かつて自然の脅威に一度は淘汰されたかの様なこの建築は、逆に未来永劫に存在しえる「遺構」のオーラを発散しながら、テシオの沿岸に建つ。

夢みる遺構

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確かこの辺りからの眺めだったろうか。河川敷きに木材がひしめき合い、ぶつかり合う音を街中に響かせた場所は。それも「今は昔」のこと。老人はそう懐かしんだかも知れない。

                                                                
あるいは、この街が消滅するのではと、未来に少し不安を抱いたのかも知れない。

                                                                                                                                       
ある晴れた日、海と河と原野に囲まれたテシオの街を歩きながら、老人は想像を巡らせた。

・・・のかも知れない。

テシオは人間と都市の赤裸々な関係を想像できる糧として今もある。その媒介者は建築だ。