磁力

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加藤肩吾「松前図」.jpg
日本列島の柱頭たるホッカイドウが環オホーツク全体の重量を受け留め、上方より流れ落ちる千島列島を南端で呑み込もうとしている。

そしてテシオ、イシカリ、トカチの大河川は北東部のある一点をめがけて海から逆流しているかのような勢いである。

ここには正確な地図よりホッカイドウの本性が描出されている。
18世紀末、未だ全貌のつかみ切れない大きな島を未熟な測量術で記録するにあたり、地図作者の筆はオホーツクからロシアに向かう磁力に引っ張られたかのようだ。

当時、ロシアの蝦夷進出に抗するために地勢把握が必要であった。地図作成にあたり不可視の力が働いたとしても不思議ではない。

その磁力はロシアによる脅威を表すとともに、オホーツク以北の未知がもたらすパワーをも表現することになった。


松前藩医加藤肩吾の手による「松前図」は21世紀の人間に、ホッカイドウの本性を語りはじめるのだ。都市にあっても磁力を感じる冴えを持てと。