「飛ぶ鳥を落とす勢い」という日本の言い回し、韓国では「飛ぶ鳥の上を飛ぶ」というらしい。
私はこの話を15年前に聞いた。ある評論家が、アジア映画の未来の勢力図を予測したときに用いた。
アジア映画のその後についての興味よりも、私には「飛ぶ鳥の上を飛ぶ」という発想とメンタリティに異常な新鮮さを覚えた。それ以来、飲み屋での必殺ウンチクネタになっている。
仁川(インチョン)国際空港はバカデカい。旅客ターミナルの広さはフットボールフィールドが50面。徒歩で制覇しようなんていう気にはならない。
しかしアジアの都市を結ぶ中心空港たるにはデカさは必要だ。
あまりにデカいと、建物は自らのデザインを誇示することを放棄し、そのかわり街のようなナガレとタマリとヨドミの集合体と化す。
小難しい表現をしてしまったが、要するに…
腹が減ったら食う。
眠たいなら寝る。
欲しいならショッピング。
興味が湧いたら立ち止まる、しゃがみこむ。
建物内にいるという拘束感は消滅し生理のままに行動しだす。
「飛ぶ鳥を落とす」という意識では、せいぜいがカッコいい空港が出来るだけだろう。
「飛ぶ鳥の上を飛ぶ」という発想があってのこのバカデカさが実現された。
私「お前、なんか最近飛ぶ鳥を落とす勢いだナ。」
友「当たり前じゃないか、撃ち落としまくりだよ。」
私「だからダメなんだよ。」
友「なんで?」
私「飛ぶ鳥の上を飛ばなきゃ。」
友「・・・」
私(してやったり。)
友「じゃあ、お前も撃ち落としてやるよ。」
うーめんどくさい。N.F