2015年7月アーカイブ

マニアのスタジアム1.jpgロンドンから北西に250キロ、カーディフという街がある。

その中心部にミレニアムスタジアムという7万人収容のラグビー場がある。

 

1999年にラグビーワールドカップ開催に合わせて建設された。

古風な街並みに立ち上がる鉄骨の支柱は印象的で、ビッグゲームへの期待感を煽る。

 

少し離れたところから見える開閉式屋根や多段式の観客席は「お金の掛かった」という

印象を与えるが、実際のつくりは簡素だ。

 

マニアのスタジアム2.jpg

建物や川が迫る市街地の中で、大きな屋根を合理的に支えるため、4隅に垂直に柱をたて

そこから長い骨組を吊っている。

内部空間は日本の体育館の屋根と同じく、鉄骨のトラス梁が露出している。

構造デザインとしては古典的な手法だが、そんなことはラグビーマニアにはどうでもいいことだ。

 

 

そして刺激的なのがスタンド裏の空間だ!!

 

マニアのスタジアム3.jpg本来ならばショップなどが並ぶスタンド裏はデザイナーの腕の見せどころだろう。

しかし、、、コンクリートと蛍光灯と設備配管がむき出しで、非常に素っ気ない雰囲気だ。

男子トイレに至っては、あまりのpoorさに感動すらした。

私の好きな神宮球場や大阪球場に通じるセンスのあるpoorさ。

 

ビールと国歌とアツいゲーム、ラグビーを愛するマニアには

それ以外の演出は邪魔なのだ。

 

スタジアムは刹那の決闘のための場。美術館や劇場ではない。

文化や歴史はすべてピッチの中で体現されるのである。

観客はたった80分のゲームに熱狂することで全身で何かを感じ取るのだ。

 

邪魔な要素を一切排除したデザイナーはきっとラグビーマニアに違いない。

少なくとも建築家としての野心よりもフットボール文化への深い理解を感じた。

 

結果それは時間とお金の節減につながるのだ。

 

 

追記

私がカーディフを訪れたのは2007年秋のワールドカップ JAPAN vs WALES 戦の前夜で

大雨が降っていた。

深夜、空港からホテルに向かう途中、タクシーの運転手がスタジアムの前を通過しながら

私に言った。

 

 運転手  「今、スタジアムの屋根をわざと開けている。」

 私     「ピッチが緩くなるよ。なぜ閉めない?」

 運転手  「それが作戦なのさ。」

 私     「はあ?」

 運転手  「日本は緩いピッチが苦手だからね。」

 

開閉式屋根の使い方までマニアックすぎる💛💛

 

ラグビーワールドカップ2015は9月18日からロンドンではじまる。

こんなマニアックな奴らにJAPANは勝てるのか?

N.F

 

充電器

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充電器.JPGしゃべらなければならないし、考えなければならないし、つくらなければならないし、

怒らなければならないし、笑わなければならないし、飲まなければならないし、、、

 

そんな騒々しい日々が続くことがある。

目の前のことだけを見つめ、これだけを達成し、そしたら次へ、

精魂はだんだん消耗していくのでございます。

 

じゃあ休暇でもとってNYにでもいくかと。

しかし、そんなことでは本当の充電は出来ないのです。

 

p.b.Vには客人を入れない隠し部屋があって、そこが私の充電器になっている。

癒し音楽を聴いたりや、アロマを吸引しているわけではない。

散らかった廊下のような空間で、ひたすら手を動かすのだ。

建築学科の学生のようにモックアップ(模型)を生産する。

頭は使わない、字も書かない、図も描かない、、、

絶対考えない。一日、籠る。

 

一見、Out-putのように見える作業は実は、手の動きを介してIn-putに転化するのである。

不思議だ。構想や戦略といった空論を忘れ、野良作業のように体を動かすだけなのに。

 

転化のメカニズムは専門家に譲るが、サーファーや登山家が天候を読んで進退を見極めるように

身をもって入力した実感は確実に次の行動へのエネルギーになるのだ。

小難しくいえば「情報の身体化」だ。

 

私の充電器はご覧の様に、何がどこにあるのか判らないくらいに雑然としているが

外部の情報からは極力遮断している。

 

一日籠ると、10%は充電できる。N.F