
「今、何を手がけられていますか?」
この問いかけは手強いし、返答に詰まる。
答えようによっては会話が発展するが、空振りすれば気まずい。
「〇〇に美術館と、××にホテルを手がけております。」
なんて調子よく答えたら
「それは、ご活躍で。」
となり、ゲームオーバー。
「手がける」とは単に具体的な業務種別を問いかけているのではない。
その人の息の長ーいテーマを相手は知りたいのだ。
だから、繁盛自慢はアウト。
時の天皇から
「あんたは何をてがけているのじゃ?」
と、問われた空海は
「宇宙でごじゃる」
と答えた。(とか答えなかったとか)
「う、宇宙!?お前大丈夫かあ? じゃあそれをつくってみなされ。」
ということで東寺の造営を請け負った。
「手がける」ものを問われたら、それくらいCRAZYに打ち返したい。
とっさに出てくるものではないので、日ごろから答えを用意し磨いておかなければ
大きなことを言えばいうほど恥をかく。
シンプルに、わかり易く、奥が深い。
そんな答え。
空海にならって答えの準備をしようと思うのだが、
まったく思いつかない私である。
写真は東寺講堂に出来た「宇宙」。
建築物には趣向を凝らさず、高精度のイコンを並べて
宇宙の見取り図がデザインされている。
そんなことを考えているうちに、仕事の山が築かれる。
このままでは「宇宙」どころか
「年越し」さえも「手がける」ことが出来ない。
N.F