2010年8月アーカイブ

君たちは包囲されている.jpg
「君たちは完全に包囲されている!無駄な抵抗はやめて出てきなさいっ!」                                                                                                   
                                                                                               
イベントでビルを占拠した我々は、今度は大家から包囲された。                    
                                                                     
現在p.b.Vが入居する水協ビルの外壁塗装が大家の手により実施されている。
                                                                                                                                                                          
このクソ暑いさ中、塗装中は窓も開けられない。
しかしビルが綺麗になればいいのだ・・・
そんなふうに思いなおして、現場の工事担当者に聞いた。
「で、何色にしてくれんの?」
「オレンジです。」
「・・・・」
「お、大家さんが、オレンジにしろと。私は指示のままに。」
                                                                         
オレンジだぁ?もうー、何考えとんねん。
                                                            
完全に包囲された我々は、無抵抗なまま、すこしづつ染まっていく。
強烈なオレンジに。
N.F

02_M29.jpg
明治29年になると、岩見沢駅が現在の位置に移動してきます。

そして、入植してきた人達の土地を分断するように、道路が敷かれ始めます。
ここから、土地の細分化が始まるのです。

街が発展するうえで、やはり100間×50間は広すぎです。

これによって、マチはにぎわいだし、新しく出来た1条通り沿いには商店が並びだします。

しかし、この年の5月22日に大火がおこります。
ようやく、栄え出した商店街が見事に燃え尽くされたのです。

十数年かけつくられたきた街並みがものの数時間で、無に還る。
今の時代以上に火事は、巨大な力だったのですね。

その火事を経験しまた人は、エイヤコラとまちづくりに奮起したのでしょう。

そして、また街は発展していくのです。
M.T
M17.jpg

明治17年、本格的な入植がはじまる。100間(182m)×50間(91m)が一戸に割り当てられた土地であった。

現在中心市街地になっている、駅前通りと中央通りに挟まれた、1条から6条にかけて入植した18戸から中心市街地は発展していく。

この何にもない広い荒野を家族総出で、開墾する風景が見えてくる。
その大変さは、並大抵のものではなかったであろう。

この当時、地図の一体の道路は札幌通り(現在4条通り)とそれと交差する、夕張通り(現在中央通り)があるのみであった。
シンプルを通り越して、まだまだ何もない状態。


そして駅は現在の位置よりも夕張通り(現在中央通り)を越えた東側に設置されていた。
M.T

ゼロからの都市

|
1871東を望む.jpg
ほとんどの建築は都市につくる。もっといえば、都市の「土地の上」に。

土地には所有関係がつきもので、これが案外、建築の構想に影響する。                      
                                             
誰がどの様に所有し、どう活かしたいか。

一方、所有される土地は不動産と称し、移動不能の財産をさす。                    
しかし我々はその不動という概念を疑っている。                             
                                   
土地は「天下のタ・マワリモノ」と考えているからだ。

ホッカイドウには150年まえまで都市は無かった。
従って土地所有という概念も存在しないところから
都市のストーリは始まった。 

都市誕生後、その所有関係が派生し
政治・経済・災害・戦禍による変成作用を受けて今に至っている。
                             
不動といえども、所有を巡り土地はウゴメイテいるのだ。                      
そのウゴメキの軌跡を捉えることで、都市はどこへ向かっているのか
知りたくなった。                                      
建築を考える糧として。けっして歴史のお勉強のためではない。                     
かっこうの素材が見つかった。
数回にわけて、アップしたい。

題して、「ゼロからの都市」。                      
                   
N.F

施  工  図

|
施工図.jpg
セコウズという重要なものがある。
設計者やデザイナーは描けない類の図面だ。工事や製作をする側のエンジニアが描く。
                                           
                                                                       
だから施工図には実際につくるための知識、工法、経験が一杯つまっている。
                                             
我々にとって施工図は重要だ。エンジニアの経験と技術が、我々の作り出すカタチをより豊かで確かなものに押し上げてくれるからだ。                        
                                                                             
過去の失敗を活かす工夫。
                                                                 
ヘビーな使用に耐え得る細部。
                                      
                                                              
エンジニアの「声無き声」が図面から聞こえてくる。 
                                                       
現在製作中の公衆電話ブースもデザイン上の意図と製作上の課題が融合しながら解決されている。デザイン上の意図とは、磁性・ドット・スリット・クッション・エッジである。家具製作の日新インテック社の経験と技術が活かされている。                                                                                                                                                                                                                                        
                                                                     
施工図の教えとは・・・
                                        
経験上の「脅威」を、
「謙虚さ」をもって、
「冴え」たアイデアに昇華せよ。

そういうことである。                               

施工図作成に労をいとわないエンジニアの皆さんに「謝々」
N.F                                                        
               

短命さ

|
SCO.jpg
SCO(さっぽろチャレンジオフィス)が賞をいただいた。
                                               
日経ニューオフィス賞:北海道経済産業局長賞。
                                             
                                 
このプロジェクトの背景には再開発を目前にしたビルを時限的に活用するという意図があった。
従って出来るだけ「短命な」素材でつくろうと考えた。
                                                                
薄ベニヤ、紙、布。どれも耐久性とは程遠い。                                                                   
                                               
完成後は、長屋のような個室と広場のような共用スペースの組み合わせが好評で、起業人の間では人気物件となった。
                                        
                                                      
その後、不動産投資バブルが去り、ビルの再開発が見送り状態になっている。
かくして、短命であるはずの空間は生き延びている。
                                                       
                                                      
今回の受賞も、もともとの空間の寿命からいえば想定外である。                       
                                             
そして、恐らく、受賞理由の中には素材の「短命さ」がデザインの新鮮さとして評価されているだろう。
もちろんこちらも「短命さ」をウリにしているわけではないので、意図と評価はウラハラになっている。                                                      
                                                                                         
最近、少しへばり気味の布や紙を見るにつけ「君らの寿命はわからんけど、何とか生き延びてナ」とやさしく語りかけることにしている。                                        
                                            
すると素材は答える。
「ねえ聞いてください。私たちを活かすもっとよい方法があります。それは・・・」             
                                   
「えっ!?今しゃべった?」
                                                           
                                                            
教えてちょうだい。「短命さ」を長寿の秘訣として活かす技。
N.F                                                 

不自由さの力

|
ビル占拠.jpg
p.b.Vのオフィスがある水協ビルを占拠して行ったイベントは盛況であった。
そして建築を考える上でも示唆的であった。
30人ほどの群集行列はダンサーとともに、地下→1階→2階→3階へと上昇し、最後は屋上で解放された。
                                                          
このイベントを支えているものは3つ。

①「占拠」という事件性
②ビルの建築的な不自由さ
③店舗どうしの近所づきあい

                                                                                                                    
①「占拠」という事件性
「舞踏」が持つ魔力、ユーモア、瞬発力、そして田中ハルという舞踏家の演出力。
「占拠」という事件性はこれらによる所が大きい。
                                                 
②建築的な不自由さ
水協ビルは、ひとつの階段が各階の店舗をダイレクトにつなぐという塔の様な構成をもつ。動線の自由度も店舗の視認性も皆無である。
色んなお店を回遊しながらショッピングを楽しむという昨今のアウトレットモールとは「真逆」。
この空間的な「不自由さ」が生み出す「密閉感」が占拠というアイデアに活かされた。

③店舗どうしの近所づきあい
人様の店舗や賃貸契約以外の部分にまで踏み込んで何かをするときに、企画自体のもたらす「ご利益」と同じく重要なのが、日頃のお付き合いである。
水協ビルの各テナントは仲が良く、その結果ノリも良いのだ。

                                                                                           
その他特筆したいのは、舞踏のBGMにビルの様々な部分が使われたことだ。
玄関シャッター、鉄パイプの手摺、床板・・・
その打撃音は安普請の鉄骨を介し、ビル中に「あの世の音」の様に反響した。


                                                                                                                                    
p.b.Vでも建築物の再利用プロジェクトが増える傾向にある。

建築のもつ「不自由さの力」について、再考を求められる機会となった。
N.F