2010年7月アーカイブ

風 力 空 間

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風力空間.jpg
私の住むマンションの風通しは悪い。                                     
玄関側が廊下になっているので、風が抜けにくいのだ。              

猛暑の深夜、思案中の公共住宅のプランが頭の中で点滅し眠れない。                

暑い、ジメジメ、無風・・・
暑い、ジメジメ、無風・・・                                 
                                     
                                  
ふと、「力強い風の通りみちに住めたら、夏は爽快かも」
ボヤけたプランは急に輪郭をもちはじめた。
風の通り道がそのまま住空間になった。                                    
                                          
併走する2本のパイプ状の空間。どちらも両端は窓になっている。                      
2m巾のパイプは風呂-洗面-玄関-トイレ-キッチンが効率よく一列に並んで風が通り抜ける。
3.5m巾のパイプは居間や寝室で、間仕切りの無い一体の空間となっている。
ここが11mに及ぶ力強い風の通り道である。                           
                                                                 
どの様に住むかは入居者が考える。白樺とステンレスでできた天地無用・回転御免の家具がその手助けをする。                                           
                                                                 
このプロジェクトは都市の公共政策上の大切な使命を担うが、それはそれ。

生命要求の転写。
                                                       
猛暑の深夜の脅威を忘れてはならない。たとえ冬を迎えても。N.F

ビルを占拠

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ビル占拠.jpgのサムネール画像
予告。今週末p.b.Vが入っているビルが占拠される。                                                                                     
                                                                             
イベントの話しである。                                                
                                                                                             
水協ビルは地下1階地上3階建ての「ザ昭和の雑居ビル」である。                                                                                        
                                                           
各階1テナントが階段で結ばれているという「塔」の様なシンプルさで、初めて訪れた人は未知の領域へ恐る恐る上昇するハメになる。                                 
                                                                         
B1はカラオケパブ、1Fはジャズ喫茶、2Fは洋食レストラン、3Fはカフェとp.b.V。                                           
                                                                                           
ある舞踏家が、塔の様な密閉度がタマラナイと言い出し、このイベントをすることになった。                                               
                                                                    
                                                                                               
7月31日7時31分、ビルの玄関シャッターは閉まり、地下のパブより上階へと見物人を引き連れて「踊り上る」。                                                                     
                                                                                         
「密閉感」のクライマックスは、札幌の都心を一望できる屋上の「開放感」である。
                                                                                                                             
                                                                               
当ビルのオーナーが、ビラで埋め尽くされた階段を上がって来て私にいった。                                                        
                                                                                  
「ついにこのビルも乗っ取られますかー。まあ、屋上から落ちないでください。」                                                        
                                                                      
商売繁盛。事故防止。オーナーとしては痛しかゆしといったところか。                                                                                 
                                                                                    
まだ見物人、募集中。
N.F

細分、統合。

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パズル.jpg
数ヶ月まえから、ある都市の開発プロジェクトの取り組んでいる。完成には5~10年はかかるだろう。規模のわりに長い。色んなパズルを解きほぐす必要があるからだ。
お題は・・・                                  
                                        
・都市の現状にマッチしないお決まりの公共住宅をヴァージョンアップすること。
                                   
・公共投資が地主による開発を誘発する「玉突きプロジェクト」になること。
      
                                         
「バラ色の提案を如何に回避するか。」                                                                     
                                            
ここが重要である。                               

暗中模索においても握り続けられるもの。

様々な立場や思惑の相違を強引に接着するもの。
                                                                                                                   
                                                          
そういったものの上に現れる建築の姿に我々は心酔する。              
                           
しかし、それを求めるには時間と労力がかかる。

有能なサッカープレーヤーの様に「無駄走り」を厭わない我々は、手始めに「都市の軌跡」をトレースすることにした。
     



常次郎、傳右衛門、七郎右衛門・・・130年前、この都市を切り拓いた人たちだ。   そして今もその苗字は地主に引き継がれている。
この街の目抜き通りは、大正期には商家が通りを挟む堂々とした雰囲気が達成されていた。                 
しかし平成の現在、創成期のゆったりとした町割りは相続や転売の末、断片化が進行したPCハードの様に細分を極めている。                                             
                                   
地割と人心の統合。これが本プロジェクトの命題である。                               

Shima、雨。

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入北記「雨」.jpg
書に無知な私でも、この筆跡の発するオーラを感じ取ることは出来た。
                                              
原野に世界一の都市を構想したShima。その任に当たる10年前、35歳の佐賀藩士島義勇は蝦夷の地を数ヶ月かけて周回した。                                    

                                                        
島は過酷な旅を「入北記」として記録した。それは4巻に分かれており「雲」「行」「雨」「施」とネーミングされた。
                                                                             
後年、自分が原野に都市を建設することなど想定外だったであろう。                                                      
しかし若き日の冒険が、破格の構想へと向かわせたのだ。                                                
                                                                                                    
札幌建設のキリコミ隊長こと開拓判官Shimaの精神と行動に焦点を絞り込んだプロジェクト、札幌市庁舎ロビーのリニューアルが着工した。
           
筆跡が放つオーラを建築に転写することはできるか。N.F
共有生活3.jpg
4年前にp.b.Vで設計したオフィスを訪ねた。                          
ネンキの入ったビルのフロア改装で、
10数社が入居するシェア型のオフィスである。                                
                                                
各社専用スペース以外の受付や
会議室などは共用されている。                     
                                                                           
エントランスを入った所に広くて明るいスペースがあり、
椅子・テーブルが散らばっていて、
ミーティングや休憩、軽食など自由に使われている。                                 
                                         
しかしただのフリースペースではない。
周囲には受付・自販機・プリンター・ロッカーなどの
機能的な装置が並んでいる。
そしてこの装置たちは賃貸オフィス管理上の「キモ」でもある。                                     
                                                                                                                                         
                               
                                        
「解放と管理」・・・これが共有生活を解く鍵である。                                  
                                             
                                                                                             
両者が「ある方法で」重合されたとき、
他人同士が共存するギコチ無さや気まずさは希薄になり、
それに代わって「共有」が姿を顕す。

「ある方法」とは???
                                                              
それに向かって、建築を精進させなければならない。                                           
共有生活2.jpg
もう一つの見学先は下町日暮里にある「かんかん森」。
事業者や研究者の間では名の通った建物である。                                    
玄関をくぐった瞬間から、20世帯ほどの他人が生活を共にしている独特の空気を感じた。
                                  
食事や掃除などが当番制になっており、住民全員に当る。
当番を確認する掲示板の仕組みには、数年にわたる合意形成の痕跡を感じる。
                                               
                                  
食品庫を見ても、数年をかけて共用の調味料たちが
ようやく「居場所を見つけた」という感じがする。
                                                                    
ちょっとした家具の補修は屋外テラスにある工房で行う。                                        
                                   
濃密な共同生活を可能にするためには、人間関係によるストレスにある程度の鈍感さが必要だ。                 
「準家族たち」とのリラックスした関係は、その上に成立している。                                 
                                                
3年をかけ熟成させたという建設計画は、事業というより               
「社会学的な挑戦」の色合いが強く、誰にもマネ出来るシロモノではない。
                                               
これに対し、先回述べたシェアプレイスは事業としての明快さと方向感覚をもっていた。
                              
真逆の指向をもつ両者から「何を獲得し、どう磨ぐのか」かが重要だ。