「写真はその機能上、宿命的に二つの側面をもつ。」
「それは表現と記録。」
「そして写真の本質は記録にある。」
写真家 森山大道は講演でそう語り、一冊の写真集を我々に紹介した。
その内容は驚くべきもので、無辺の原野に都市-札幌創成の風景が写し撮られていた。
用水路から上げられた大量の木材は圧倒的であり、都市誕生を昨日のことのように実感するには充分すぎた。
札幌市庁舎ロビーのリニューアルプロジェクトは、この疑いようの無い記録を「大きな船」にすることで漸進しはじめた。
この写真集で特集されている田本研造は幕末から明治を生きた函館の御用写真師である。
・紀伊の生まれであること。
・34歳のとき、凍傷で右足の膝から下を失ったこと。
・日当3両+経費で札幌建設の記録写真を請け負ったこと。
・二度の函館大火で自身の写真館を全焼させていること。
・しかし間髪を入れずに再建したこと。
そんな人物である。
問題の写真をデジタルで補修復元したところ、広大な風景を高精度で「記録」していたことがわかった。
この写真はロビーのある地点に立てば見ることができる。N.F