"挑戦するFRP工場" を自称する千葉化工を訪ねると、
イチゴやツリーハウスや昆虫など繊細な樹脂製の造形物の中に
オーラまんまんの力強いマシンが横たわっていた。
これはFRP製の土中埋設管、通称ドカンをつくる「押し出し成型マシン」である。
ちなみにFRPとは繊維強化樹脂のことで、ケイタイ・玩具・家電から航空機のボディまで
我々のまわりはFRPだらけだといっても過言ではない。
つまり現代生活はFRPに包囲されていているのだ。
この日は「はらっぱ」をコンセプトにした子供の遊び場をつくるため、
例により何かを頂戴するために工場見学をさせてもらったのだが、
私の眼は先述のドカンマシンに釘づけとなった。
ドカンを模したFRP遊具はよく見かける。
昔、はらっぱ遊びでナラした大人が、現代っ子に向けてつくったものだろう。
「俺らのガキの頃はナ~、はらっぱのドカンをヨ~、アジトにしてナ~」
その気持ちは十分くみあげつつ、私にはドカンマシンによって出来た
本当の土木用FRPドカンを使うことが重要に思えた。
FRPに包囲されている現代生活。
子供用とはいえ、この上さらにドカンに似た玩具をつくる必要はない。
本当のFRPドカンを使えばいいのだ。ただし新しい使い方で。
並走する12mの2本の大口径ドカンは、ラグビーのスクラムの様に
互いに喰い込みながら、複雑に組み合わさっている。
それにより力学的な均衡と安定を生み出しつつ、内部に複雑な空間が生まれた。
土木用のFRPドカンは、チマチマした発想を許してくれなかったのだ。
模型を前に、完成物の出来を心配していたら、
ドカンの専門家として二人の少年が現れた。
「固まってんと、なんか意見聴かせてくれヨ~!」
一人は、マイクを持ったガッチリとした奴。
もう一人は、少しのん気な感じの奴だった。
N.F