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ホル.jpg「これでプラマイゼロだからいいよね。」
 
よくきくセリフだが本当にそうか?

マイナスはプラスに転化しないのか?? 
 
 
この問いをひっさげて、株式会社遠藤木型に向かった。この工場ではあらゆる立体物を彫り出す技術がある。
 
 
何気なく見せられた「本」の木型。よくみるとページの積層感やソリが表現されている。
 
本当の書物を3Dスキャンし、その通りに彫りだすのだ。だからこれは本のようなフィギュアではなく、実在する本の一瞬のカタチを凍結したものとなっている。
 
次に写真が貼り付けられたような様なアクリルの板。しかしその表面には猫を印刷したフィルムは存在しない。
 
これも「ホル」のなせる業である。ダークグレーのアクリルを深く彫ると光は透過し白っぽくなる。浅いと黒っぽいままだ。
 
わずか数ミリの厚みに無限の深度を彫り込み、その結果「無数の光の点による粗密」がネコの顔を描出する。 

この2つのプロダクトに、日本におけるホルの技術水準が凝縮されている。


マオリ族の刺青にビビッている場合ではない。マイナス行為が如何にプラス転化するか。これはモノづくりにとって重要な問いなのだ。
 
なぜならモノづくりは常に「損失=マイナス」の上に成立するからだ。柱を切り出すにも、壁を塗るにも、自然界を含めた物質循環の中で何割かの損失が出る。
 
そのマイナスに無自覚だと、プラスにも鈍感になってしまう。
 
マイナスに向けるべきは「謙虚さ」であり、プラスへの感度として「冴え」を備えなければならない。 

 
しかし・・・
飲み屋で友人から「この飲み代、俺が払う。1軒目払ってもらったから、これでプラマイゼロね。」と言われて
 
「君、プラマイは実はゼロではないんだよ。なぜなら・・・」と講釈をタレてもプラスは全く生まれない。N.F